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ヘヴィメタル/ハードロック
アーティスト分類-ABC順
H | シンフォニック・ブラック | ブラックメタルHECATE ENTHRONED
"upon Promeathean Shores" 1995
解説
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コメント・評価
Recent 20 Comments
1. 白黒牛 ★★ (2008-01-17 15:30:00)
正統派British Black Metal バンド、Hecate Enthroned のデビューアルバム。
ミニアルバムのEPなので、オフィシャルでは次の The Slaughter Of Innocence...(1997) が初のフルアルバムなのですが、re-release版(1998) には2曲 も足されて37分55秒あるので、立派に1st アルバムだと思います。(BathoryのBathoryなんて26分49秒しかない。。。)
Cradle Of Filth でべースを手伝ってたJon がCoF をやめて、その前から一緒にやってたギターのNigel とはじめたウェールズ出身バンドで、2008年1月現在、このアルバム当時からのオリジナルメンバーはNigel だけですが、 Hecate はずっと、やっぱりこのアルバムが原点になっていると思います。
このEPの次に、シンフォニックで究極に幻想的な音のアルバムが2枚続くわけですが、その後はまた、またこのアルバムの音の骨太さや自分達の生活感を大切にしている様に思います。
劇的で巧みな曲の構成力がすばらしく、シンフォニックですが原始的な泥くささが凄くかっこいいアルバムだと思います。
そして、イギリス的な土地の匂いが込められている音なのがすばらしいと思います。カビやコケに満ちた森のなかの川沿い、しめった冷たい風が漂う岩だらけの草原、イラクサに囲まれた黒い実のニワトコ。。。いくら同じ音符をたどっても、北欧のブラックメタルからこの響きはなかなか出てきません。
北欧にも同じ様な風景はあると思いますが、やっぱり土地の質が違うのだと思います。(ちなみにこの様な音は、ブラックメタルにかぎらず、よくあるイギリスバンドの特徴だとも思います。)
この1st アルバムで、Black Sabbath(初期の) 風にロマンティックな一曲目(イントロのあとだからトラックは2)からHecate の全てを始めたというのも感動的です。
(この曲を、2007年10月に現在のラインナップでやったライブのがYoutube で見れます。
. . . Hecate Enthroned - The Crimson Thorns ... http://www.youtube.com/watch?v=7MMCiPETNIo
新しいキーボードのPete はまだアルバムに入ってないのでまだよくわかりませんが、Kings Of Chaos からの今のメンバーは最強だと思うし、究極に切実に説得力のある演奏をするので、私にとっては感動の爆風の涙ものです。。。)
ウェールズはイギリスの中でも、古代にギリシャから伝わった文化が色濃く残る所としても有名です。
Hecate Enthroned( ヘカーティ エンスロンド と発音したほうが近いと思う)のヘカーティは、日本ではヘカテーで、
ギリシャ神話では月、死、闇、呪術、魔術、出産や子育てなどを司る、頭が3つある怪獣にもなってしまう女神で、
普通には主にQueen of Death, Darkness, Sex and Witchcraft といわれ、アイルランド版 のMorrigan(モリガン)とほぼ同じです。
Promeathean(英語では プロミースィアン と発音したほうが近いと思う)は、Promeathus(英語では プロミースィウス と発音したほうが近いと思うけど、日本では プロメテウス です)の形容詞です。
。。。プロメテウスはギリシア神話の中で、人間を粘土で作って、人間に"火"や"文明"を与えた神で、
その後人間がゼウスを怒らせて取り上げられてしまった "火(創造、生活の動力の象徴)"を、ゼウスから盗んで人間にもって返って来た神です。
(もともと、プロメテウスが神々への捧げ物を2つ用意し、牛肉の隠してある牛の胃袋よりも骨しか入っていない脂身の方をゼウスが選んでしまったので、それから人間が牛の骨と脂しかゼウスに捧げなくなってしまい、人間が牛肉にありつけるようになったので、ゼウスは怒ったのでした。
プロメテウスは全能の神であるゼウスをちょろまかして人間を世話した象徴の様ですが、
その後、怒ったゼウスはそれまで男しかいなかった人間界に、苦しみや病気を撒き散らす為に女をよこしただとか、
不死プロメテウスはゼウスに岩に鎖でつながれて、数年後にヘラクレスが助けてくれるまで、毎日再生できる肝臓をハゲタカに食われ続けたとか、色々ありますが、)
このヘカーティのアルバムの中の曲がダイレクトにそういう神話のことだというわけではありません。でも、
人間というものが始まってからのこの世の苦悩や、創造力による破壊力など、を思わされます。
ちなみに、このアルバムが好きなに人は、Thus Defiled の1st アルバム、Through the Impure Veil of Dawn(1995) がとてもおススメです。
かなり同類の音楽だと思いますが、やっぱりイギリスの北西部と南東部では気候も土地の匂いも違うのが表れていると思います。
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