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Sign of the Times / KELLY SIMONZ'S BLIND FAITH
火薬バカ一代 ★★ (2008-12-20 11:42:00)
アメリカのMIでギターを学び、B、Ds、Keyまでこなすマルチ・プレイヤー、ケリー・サイモン(またの名を島津和博)による、
一人ネオ・クラシカルHMプロジェクトことKELLY SIMONZ'S BLIND FAITHが'98年にリリースした、自主制作の1stアルバム。
余りにイングヴェイそっくりな作風や、ところどころで顔を覗かせる借り物チックなフレーズには流石に苦笑を隠せないが、
テクニックのみならず、確かな表現力をも身につけたケリーの精度の高いGプレイと、美旋律に彩られた、クラシカル且つ
ドラマティックな収録曲の数々を聴いていると、段々「まぁどうでもいいか、んな事は」と思えてくるのも事実。
何よりアメリカで揉まれただけあって、邦楽的な匂いを殆ど感じさせない、この人のバタ臭い作曲センスは貴重だ。
取り分け、単なるイングヴェイ・フォロワーには決して真似できない、繊細に爪弾かれるアコギの情感豊かな音色に
涙する④、中間部のバロック音楽風味のアレンジにハッとさせられる⑤、ゲイリー・ムーアばりに泣きまくる⑦、
バッハルベルの“カノン"を引用した叙情バラード⑨といった、ケリー・サイモンというミュージシャンならではの
個性がしっかりと発揮されたミドル/スロー・ナンバーは魅力的だし(勿論、お約束の疾走曲①⑥⑨も○)、
また、ケリー本人が担当するVoが、ネオ・クラシカル系にありがちな「線の細い頼りないハイトーン」とは一線を画す、
中音域をメインにブルージーに歌い上げるタイプというのも、他のフォロワー達との差別化に一役買っているんじゃないかな、と。
斬新だが退屈な音楽よりも、質の高い二番煎じ(と書くとかなり失礼だが)を聴きたいというリスナーにお薦めの1枚。
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