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Gateways to Annihilation / MORBID ANGEL
Usher-to-the-ETHER ★★★ (2008-05-12 22:15:00)
疾走を軸とした展開ではなかったりインスト明けの2曲目が全然メロくない無愛想な曲だからなのか、中古で多く見かけたり(ぶっちゃけ、私は中古600円くらいで買いました)彼らのベスト作品に挙げる人が少なかったり、いまひとつ世間での評価が芳しくないように思われる作品…ですが、私的にはかなりの名盤。

スピードを敢えて押さえた作風は、威厳たっぷりの禍々しさを見せ付け、地獄で仏ならぬ地獄で閻魔とサタンに同時に遭遇したかのような感覚。Treyの感性が遺憾なく発揮されたリフ、Peteの激速ツーバス、敢えて曇ったようなギターのプロダクションなどが絡みあって出来る世界観は、単なる表面的な重さや速さだけではないおぞましさがあるように思います。「H」はその個性を更に発展させた形とも言えますが、インストやドラムチェックを挟んでた「H」と比べると、世界観の描写が一貫している分こっちの方が好きかもしれません。

…これを聴いて私が思い知らされたのは、「(真性)デスとメロデスの違いは単にメロディの多寡によって決まるものではない」という事。「Ageless, Still I Am」なんて全体的にかなりメロディアスですが、明らかにメロデスとは雰囲気が違いますよね。メロディがメロデスのような「泣き」「哀愁」に全く向かっていかず、只管に禍々しくて邪悪。リフが意志を持って蠢いた結果、それがメロディに聴こえるような感じ。こういう恐ろしさを感じさせるリフ捌きだけでも帝王と呼ばれる資格は十分にあると思いますが、それを際立たせる他パートの構成やプロダクションのセンスもあるんだから、もう向かう所敵無しでしょう。

どうでもいい事ですが…Treyってアニメとか割とオタクっぽい趣味にも理解がある事で有名ですが、昔のインタビューを読んだらそれらを好きな理由として「ハッピーな力があるから(大意)」みたいに言っていたのが意外でしたね…。これだけ邪悪な曲を書く人だし「(オタク系のアニメには)人を成長させない要素や社会と向き合わない事を良しとする要素が含まれていて、アノミーを生み出す可能性を高めるから」みたいな理由かと思った(笑)。
楽曲の邪悪さとは裏腹に、実生活では実はポジティブで良い人なんだったりして…(笑)。

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