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The Nature of the Beast / IMPELLITTERI
火薬バカ一代 ★★★ (2025-02-04 01:01:07)
「光速の貴公子」という二つ名を聞く度に、藤子F不二雄先生が残した短編漫画の傑作『倍速』のオチの名台詞「あなた、早いのね」を思い出してしまって仕方ないクリス・インペリテリ(G)率いるIMPELLITTERIが、'18年に発表した11thアルバム。最新作『WAR MACHINE』(’24年)の評判を聴き及び、せっかく購入したのに積んだままになっていたのを引っ張り出して来たのですが、確かにこちらも勝るとも劣らぬ素晴らしい出来栄えを誇っていましたよ。
盟友ロブ・ロック(Vo)とジェイムズ・プーリ(B)に加え、スラッシュ・メタル界隈での仕事ぶりで知られる腕っこきジョン・デッテ(Ds)の援護射撃を得て繰り出されるのは、現代的アグレッションも加味しつつ、より一層タフ&ストロングに鋳造された正統派HMサウンド。偏愛して止まない1st『STAND IN LINE』の頃の様式美色は今更望むべくもなく、歌メロとGリフのパターン不足ゆえに生じる一本調子感という弱点は本作においても克服出来ているとは言い難いものの、その解消を図るよりも逆に猪突猛進ぶりに磨きを掛け、けたたましく疾駆する①、合唱を誘うキャッチーな③、閃光の如きGプレイをフィーチュアして小気味良く突っ走る⑤、緩急を効かせて畳み掛ける⑪といった個々の楽曲のカッコ良さで強引に正面突破を図る開き直りっぷりは、これはこれで全然ありかなと。BLACK SABBATHの“悪魔のしるし”、アンドリュー・ロイド=ウェバーの“オペラ座の怪人”をヘヴィ・メタリックに料理したカヴァー曲④⑧の存在も本編の効果的なアクセントとなっていますよ。
さっさと聴かずにすまなんだ、と深々と頭を垂れたくなった1枚です。
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