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REPLAY / T'BELL
火薬バカ一代 ★★★ (2024-07-09 00:25:41)
スウェーデン出身のシンガー/ソングライター、パトリック・ティベル(Vo)が自らの名を冠して、GRAND ILLUSIONやP.A.L.等への関わりで知られるロジャー・リュングレン(B)らと共に立ち上げたT’BELL。本作は彼らがAOR HEAVENから’00年に発表した最初で最後のアルバムとなります。
タイトな演奏に支えられて奏でられるのは、繊細に歌い上げるVo、立体的に配置された美しいハーモニー、Keyを生かしてちょいプログレ・ハード風味の入ったアレンジまで、初期TOTOを彷彿とさせるメロハー・サウンド。とはいえシンプルにまとめられた音作りはHR寄りですし(あえてなのか、単に予算の問題だったのかは不明)、胸を締め付ける甘酸っぱいメロディの洪水も北欧のバンドらしい透明感を湛えており、安易なTOTOフォロワーとは一線を画する、このプロジェクトならではの個性がしかと刻まれた仕上がりとなっています。
80年代半ばから90年代にかけて作り溜められたマテリアルの中から厳選されているだけあって流石に収録曲の粒は揃っており、もろにTOTOっぽい曲調で聴き手を掴みにかかるOPナンバー①、思わず口ずさみたくなるキャッチーなサビメロが秀逸な②、AOR/産業ロック色が濃厚な③⑫、ミカエル・アーランドソン辺りにも通じる切ない哀メロが溢れ出す⑤⑧⑩、エッジの効いたGがハード・ロッキンに駆け抜ける⑬等々、「制作期間じつに13年」というのも伊達じゃないと思されるクオリティを有していますよ。
中古盤屋で捨て値で投げ売りされていたのも今は昔。近年はじわじわと評価を高めている(…ことを切に願う)隠れた名作です。
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