この曲を聴け! 

Gnoia / UMBRA NIHIL
kamiko! ★★★ (2023-11-15 02:17:31)
フィンランド産メランコリックドゥーム2005年作
購入時にレビューしているが、きちんと書き直しておこう。
入手から18年経とうとしているが、未だに聴き続ける神盤ドゥームで、コレを凌ぐ鬱系ドゥームには出会っていない。
録音は薄めで、ヘヴィなドゥームに慣れてしまっていると、ヘヴィさが不足しいるように聴こえるかも知れない。
しかし、ギターのリフ自体は重く歪み、減衰時のノイズや残響音に唯一無二の中毒性がある。このギタリストは天才である。
購入当時のレビューでは「カルトドゥーム」としているが、ジャケの印象と「Gnoia」というスピリチュアルなイメージを想起
させるタイトル、また、このギタリストの別プロジェクトAarni初期作品が描く作風から、確かなカルト臭がする。
しかし、この盤で描かれるのはむしろスピリチュアルなファンタジーの世界だ。それはThe Dreams in the Witch-Houseという
非常に完成度の高い楽曲で体験することができる。
唸るようなヴォイスは、慣れるまで「なんじゃコリャ」と思うかも知れない。当時の海外レヴューは満点に近い評価が多い中
このヴォイスで評価が下がっていた記事も目にした。ボクはこのヴォイスだからこそ、作品のクオリティが底上げされていると思う。
この作品の凄さはなかなか一口で語りつくせないが、まず大きな特徴としては、絶妙なテンポチェンジだ。
リフごとに微妙にテンポチェンジしたり、徐々にテンポアップしたりという工夫が、他のドゥームには無い大きな個性である。
基本的に物静かな、深めの残響音の音空間が広がる音楽性だが、線の細いギターノイズが幾重にも連なったりハウリングノイズが
覆いかぶさる様は、非常にサイケデリックで、その高音部と鈍重な低音部の対比が見事なのである。
もうコレを超えるメランコリックドゥームには生涯出会えないんじゃないか、と思えるくらいの神盤なので、陰鬱ドゥームファンは
必ずゲットしよう。

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