この曲を聴け! 

Stand Tall / KILLER DWARFS
失恋船長 ★★★ (2022-09-01 19:08:11)
メンバー全員がドワーフと名乗る事で一部のピュアなロックファンから全員兄弟という誤った認識もされたカナダのロックバンド。メンバーチェンジもあるので、大家族が全員ミュージシャン志望というレアはなく、大衆演劇一家じゃあるまいしとクスッと笑いますが、本当に全員兄弟と思っていた人がいたんですよね。

このバンドの音楽を時系列で聴いた時は驚きましたね。1983年にリリースした1stから3年、時代の流れを読み取り見事に86年仕様に変貌を遂げたバンド。その音楽性はオープニングから炸裂、芯にあるロックテイストもそこそこに、売れそうな空気を纏ったラジオオンエアー対策もバッチリとり、現状を好転するよう仕掛けてきました。
いい意味でのメジャー感、だが隠せないハードテイスト、その絶妙なさじ加減をコントロールと耳馴染みのよい楽曲を並べています。曲間の短さなんかも、聴き手の興味が離れないような工夫もあり、アルバム単位で聴かせてくれる。またメロディ成分の強弱を上手くつける事でアルバムの流れに変化をつけているのもポイント。日本人好みの哀メロナンバーなんかが合間に顔を出してくる事により、試聴感も上がるでしょう。
ある時期から、アメリカでもヴィジュアル全盛というのか、腕よりも華やかさを重視される時代が来ました。下手くそでもステージに立てた時代がある。そういうバブル弾ける時代のバンドとは明らかに一線を画す、下地のしっかりとした実力。その自肩の強さが安定感に繋がり安心して聴いてられます。カナダ産だけに丸ごと陽性ではないのも日本人にウケそうですね。

あまり好意的な評価を貰えなかったバンド。また国内盤のリリースも無かったような記憶があるのでイマイチ知名度を上げられていませんが、甘すぎないメロディアスメジャーサウンドの旨味、その味付けの巧みぶりに唸ります。

→同意