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No Respect / VAIN
火薬バカ一代 ★★★ (2021-03-25 00:21:04)
デイヴィ・ヴェイン(Vo)というと、スラッシュ・ファン的にはDEATH ANGELの1st『ULTRA VIOLENCE』のプロデューサー。あと個人的に真っ先に思い出すのは喜国雅彦の『ROCKOMANGA』で「宣材写真のポーズがいつも大体同じ人」とネタにされていてちょっと笑ってしまったことなのですが、彼が率いたVAINはデビュー前からKERRANG!!誌の表紙を飾る等して注目を集めたニュー・カマーであり、'90年にISLAND RECORDSから発表された本1stアルバムは、そうした前評判に違わぬクオリティを有していました。
ヴェインのキメポーズ同様、ねっとり絡みつくような爬虫類系の歌声に当初あまり好印象が持てず、「ロックンロール系はパス!」と長らく購入スルーを決め込んでいた本作、しかしアルバムの幕開けを飾るのは意外にも軽快に疾走する①。シングル・カットもされた③もキャッチーな名曲で、早くも「浅はかな思い込みから目を覚ませ!」とこちらの頬を張り倒しに来ます。演奏はタイトでメンバーの確かな実力者ぶりが伺え、何よりメロディも能天気さよりダークさが勝っているという。尤も、一口にダークといっても欧州系の暗黒美ではなく、ドヨンとした頽廃的な雰囲気を纏った暗さな辺りがLAのバンド風味(SHARK ISLANDとかに通じる暗さ)だなと。
似たり寄ったりなテンポの楽曲が続く中盤で少々ダレるものの、しかし濃厚な泣きを撒き散らすドラマティックなバラード⑨、ラストを全力で走り抜ける⑩という終盤2曲がこれまた逸曲なので、聴後感は極めて良好。聴き始めこそ違和感を持つヴェインのVoも聴き終わる頃には「この声でないとな!」と手のひら返ししていること請け合いですよ。
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