この曲を聴け! 

Second Heat / RACER X
火薬バカ一代 ★★ (2021-03-01 23:55:23)
ポール・ギルバート率いるRACER Xが、サイドGとしてGITでポールの教え子だったバカテク・ギタリストのブルース・ブイエを加え、新たに5人編成へと生まれ変わって'87年に発表した2ndアルバム。
ドラマーも現JUDAS PRIESTの名手スコット・トラヴィスに代わっており、後にTHE MARS VOLTAに参加する技巧派ジョン・アルデレッティ(B)の存在といい、これにて全楽器パートが頭に「超」が付くレベルの腕利きで固められることとなった本作は、前作以上に凄まじい量の音符が乱れ打ちされる、例えばレーベルメイトのCACOPHONY辺りに通じるSHRAPNELメタルの極北と言うべきHMサウンドが問答無用で展開されている…かと思いきや、案外そうでもなかったという。
2本のGによる印象的なハモリを散りばめてメロディアスに疾走するOPナンバー①からも明らかな通り、ウルトラ・テクニカルではありつつも、「俺が」「俺が」な曲芸博覧会というよりは、寧ろポールのメロディへの拘りや楽曲志向が徐々に顕在化し始めた仕上がりで、プロダクションの向上(前作比)、シンガーとしてスキルアップを果たしたジェフ・マーティンの歌唱、それに合わせてバラードから、ライブ映えを踏まえたキャッチーな楽曲、ポップ・センスの感じられるノリの良い楽曲まで、収録曲のバラエティもその幅をグッと広げています。
正直、ピーキーなギター・アルバムを期待していた身には拍子抜けだったのですが、完成度は間違いなく高まっていますし、何より本作で試し撃ちした方法論をよりポピュラーに洗練させていった先に、MR. BIGでの成功があったのではなかろうか?なんて。

→同意