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Fatal Attraction / KILLER
火薬バカ一代 ★★★ (2021-02-02 00:09:48)
傑作『SHOCK WAVES』(’83年)を最後に、所属レーベルMAUSOLEUMの倒産に巻き込まれて解散状態に陥っていた「ベルギーのMOTORHEAD」ことKILLERが、新たにサイドGを加えた4人編成に生まれ変わり'90年に発表したカムバック作。
'90年といえば、HR/HMシーンはジャンルの拡散と細分化が進行し、ブルーズ・ブームが吹き荒れ、グランジ/オルタナ勢が台頭する等、新旧勢力図が大きく塗り替えられようとしていた時期。その激動の只中に投下された本作を一聴して思ったのは「こいつら全然変わってねぇな!」と。ガムシャラに突進するリズム、Gは喧しくリフを打ち出し、その上でショーティとスプーキーのツインVoが喚き倒す。バラードにゃ目もくれぬパワー・サウンドは、80年代前半から着の身着のままでタイムスリップしてきたような徒手空拳ぶり。ツインVoと聞くと、今だったらお耽美なソプラノVoとデス声による「天使と悪魔」「美醜の対比」をイメージするかもですが、KILLERのVoはどっちもオヤジ丸出しの塩辛声ですからね。
特に、疾走するリズムとスピード・メタリックなリフに乗って「ワチャー!」「ホワチャー!」と、ブルース・リーかはたまた『北斗の拳』のケンシロウかってな怪鳥音を轟かせながら突っ走るOPナンバー①、オヤジ声の二重唱を伴い埃っぽく突撃するMOTORHEAD愛ダダ漏れな③、ドラマティックな曲展開と熱い泣きのメロディが叩き込まれる⑤等は、ツインG+ツインVoという現行編成の強みを存分に活かした本作ならではのけたたましい名曲。
プロダクションが向上したら無闇矢鱈な迫力が薄れてしまったという物足りなさはありつつも、それを差し引いて余りある充実作ですよ。
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