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Return / RETURN
火薬バカ一代 ★★★ (2020-12-09 23:24:18)
これまでリリースしたカタログを悉くヒット・チャート上位に送り込み、本国ノルウェーではトップ・バンドとして確固たる地位を築き上げたRETURN。5th『V』(’92年)を最後に活動を停止していた彼らの再始動となった'05年発表の6thアルバム。
前作『V』では、HR/HMで括ることに若干の躊躇を覚えなくもないアコースティカルなサウンドを聴かせた彼らですが、ブリットポップ風の疾走ナンバーまであったりする今作では(当時のシーンの趨勢もあってか)、だいぶHR色を回復させたサウンドを披露。かといって、安易にダーク&ヘヴィな流行におもねるような真似はせず、あくまでRETURNならではの悲哀に満ちたメロディの魅力はしっかりとキープされ続けています。
抒情味を増幅するハスキー・ボイスという、往時の個性がここでも健在なシンガーの歌唱が映える、重厚にして物憂げなOPナンバー①、雪の夜に灯された暖炉のような暖かみに満ちたバラード②、ポップにして爽やかな③という冒頭の3連打、あるいは憂いを帯びたGとハモンド・オルガンの共演が北欧メタル風味をぐっと盛り上げる⑪といった楽曲は、本作の質の高さを如実に示す逸品ですし、何より美しいピアノのイントロに導かれてスタートし、Gが奏でる泣きメロとコーラス・ワークに垣間見えるポップ・センスが巧みにブレンドされた⑥なんて、「これを聴くためにアルバムを買おう!」と思わずキャンペーンを張りたくなる、初期ミカエル・アンダーソンにも通じる感傷的な泣きに溢れた名曲ですよ。
ブランクを感じさせない良作だっただけに、これ以降、再び音沙汰がなくなってしまったのが勿体ないなぁと。
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