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Firedance / SHIVA(80'S)
火薬バカ一代 ★★★ (2020-05-12 00:32:23)
一口にNWOBHMといっても、スラッシュ・メタル誕生を促したアグレッシブなバンドからポップ/メロディアスな方向に振り切ったバンド、更には70年代に隆盛を極めたプログレッシブ・ロックの精神を継承するバンドまで、その音楽性は非常に多岐に亘っていました。
ヒンドゥー教最高神からバンド名を頂く英国はブリストル出身の3人組が、’82年発表の本デビュー作で聴かせてくれるのは、レザー&スタッドで身を固めたメンバーと、ソフト帽&スーツ姿のメンバーが入り混じる一風変わったアー写の出で立ちからも窺い知れる通り、NWOBHMのエッセンスとプログレッシブ・ロックのエッセンスが溶け合わされた個性的なHRサウンド。同じ方向性&トリオ編成ということでLIMELIGHTのことを思い出したりもしますが、“ASHES TO ASHES”みたいな分かり易い名曲も書いてくれていたLIMELIGHTに対し、こっちは万人向けとは言い難いクセの強さが全編に漲っているという。
逆に言えばそこが魅力でもあるわけで、ヘタウマVoが気怠げに歌う抒情メロディと美しいボーカル・ハーモニー、沈み込むようなリフを刻むバンマス役も担うBによって生み出されるスペーシーな浮遊感が印象的な②、情熱的に弾きまくるGがフィーチュアされた劇的な⑤、中間部で「別の曲が始まったの?」つーぐらい曲調が不気味に変化するバンドのテーマ曲⑩等は、とりわけこのバンド独特の世界観が色濃く描写された名曲。比較的シンプルに疾走する、ノリ易い⑥みたいな楽曲も味わい深いですけどね。
現在に至るまでバンドが再結成をしていないことも、本作が纏うミステリアスな魅力を底上げしてくれているように感じられる1枚。

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