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Wrath of Darkness / DAMIEN THORNE
失恋船長 ★★★ (2020-04-21 13:19:49)
オカルト映画の金字塔オーメンに出てくる悪魔の子ダミアン・ソーンの名前をバンド名にしている、イリノイ州出身のHM/HRバンドの2枚目。80年代の録音していたものを2001年にようやく日の目を浴びることとなった。
古いマテリアルであるため、2000年感は皆無だが、その闇に蠢く不吉なる存在、触れるだけで毒気に侵されそうな瘴気漂う闇夜のヘヴィロックサウンドは、シンガーのシアトリカルさも更に拍車が掛かり芝居がかったメタルサウンドを強く推し進めている。
かつてアメリカの地下で蠢いていたシアトリカルなダークネスワールド全開のメタルサウンド。その裏番長スタイルを徹底的に推し進めることで成し得た境地。音質は非常に悪いのだが、細部まで作り込んだ緻密な演奏、おどろおどろしさだけでは終わらないクールなアイデアを詰め込んだ④などを聴けば、このバンドの知的な才に改めて感心したものです。
蠢くメタルリフ、その豊富なアイデアにも驚かされるが、聴き手の感情を逆なでするような気持ちの悪いリードプレイ、その情感を蹂躙するメロディは地下室から聴こえる絶望的怨嗟のようだ。そしてのたうち回る強烈なリズムプレイは、焼け付くような粘着性を持ち込みドロドロと張り付いている。時には緩急のブレイクを繰り返し劇的な構成の根幹をなしているのだから恐れ入る。
お蔵入りの作品故に、完成度という点では物足りない、時折、首を傾げたくなるような場面がないわけではない。それだけにしっかりとした形での再リリースを求めたいのだが、この時代でした成し得ないという、如何とも表現しがたいパワーが内包されているのも事実。この闇の怒りと直訳できるアルバムタイトルが示す通りの、不穏なる暴虐性が、理性を蹂躙する不吉なるメタルサウンドに身を委ね、恐れおののくのが一番でしょう。
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