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The Second Album / 707
火薬バカ一代 ★★★ (2019-09-29 23:07:04)
特にタイトルは付けられておらず、単に『SECOND ALBUM』(そのまんまだ)と呼称される’81年発表の2ndアルバム。前作で素晴らしい鍵盤捌きを披露していたKey奏者のデューク・マクファデン('05年に心臓の合併症で死去)が脱退し、後任は迎えずKeyの座はセッション・ミュージシャンで賄ってトリオ編成でレコーディングされています。(元RUNAWAYSのシェリー・カーリーがゲストVoとして⑤に参加)
そのせいなのか、はたまたREO SPEEDWAGONのオープニング・アクトとして全米のアリーナやスタジアムをツアーして回った成果か、本作ではサウンドの主導権がGへと移り、より明るくシンプルなHR路線を志向。抒情味が薄れてしまったため、当初はあまりピンと来ず「全米チャートで150位台に沈んでしまったのもさもありなん」とか思ったりしましたが、メロディは相変わらずキャッチーですし、脇に回ったKeyが80年代らしい華やかさを演出するようになった楽曲は、ツインVoを活かしてエネルギッシュに疾走するOPナンバー①や、シングル・カットされたポップな③を始め、改めて聴き直すとこれがなかなかに乙な味わい。特に、ハード・ロッキンなエッジと哀愁のメロディが同居した⑧のような「このアルバムならでは」と言える名曲は、707の作曲センスの高さを証明してくれています。またここでの音楽的軌道調整が、後の『MEGAFORCE』(’83年)のヒットに繋がる伏線にもなったのではないかと。
レコード会社のバックアップが得られずセールス的には振るわなかったものの、バンドの成長ぶりがしかと刻まれたアメリカン・メロハーの力作に仕上がっています。

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