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V2 / V2
火薬バカ一代 ★★★ (2019-01-31 00:02:10)
V2といっても、第二次世界大戦中にドイツ軍が開発した世界初の弾道ミサイル兵器のことではなく、ましてや小室哲哉とYOSHIKIが結成したスーパー・ユニットのことでもなく。現在はFAIR WARNINGのフロントマンとして知られるトミー・ハート(Vo)が在籍していた、ドイツ出身の5人組のこと。彼らは活動期間中に2枚のアルバムを残しており、本作は’88年発表の1stアルバムに当たる作品です。
ヨーロピアンHMならではのウェットなメロディ・ラインやキレのある疾走感と、大陸産ポップ・メタルを思わす分厚く盛られたコーラス・ワークが合体したOPナンバー①が体現する通り、ここで聴けるのは欧米折衷型HRサウンド。お手本として念頭にあったのが80年代前半のSCORPIONSであろうことは想像に難くないですが、若さ迸るこの時期のトミー・ハートの歌唱がどことなくマイケル・スウィートを彷彿とさせることや、サビメロを華麗に彩るボーカル・ハーモニーの存在も相俟って、初期STRYPERのことを思い出す場面がちらほら。彼らをもっとヘヴィ・メタリックに磨き上げた感じでしょうか。
トミーの熱唱と泣きのGをフィーチュアしてドラマティックに盛り上がる哀愁のバラード④と、クラウス・マイネばりのハイトーンVo、シャープに切り込むGとよく動くBが格好いいスピード・チューン(ちょっとSCORPIONSの“DYNAMITE”風味な)⑨という強力な名曲をハイライトに、全編テンポ良く駆け抜けていく充実っぷりを体験すると、本作が発表当時から知る人ぞ知る名盤として高く評価されていたというのも、さもありなん。
トミー・ハート的には良い思い出のないバンドらしいですが、アルバムの出来栄えはピカイチ。

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