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Praise the Loud / CJSS
失恋船長 ★★★ (2018-08-24 17:06:42)
アメリカのアングラメタルシーンを代表するギタリスト、デヴィッドTチャステインの別バンドの2nd。1stも1986年にリリースされているのだが、このアルバムの同年にリリースされているという作品。前作の評判を受けてなのかは分からないが、メインと思われていたCHASTINも世に出ていたし、彼のキャリアとしては大切なSPIKE時代のメンツでやっている、このバンドの重要なピースだと思うのだが、何故同時期に乱発したのか理解に苦しむアルバムになった。
作風云々よりも、その境界線の分からない節操のなさが批判的な意見を誘発させていた事実を思うと残念でならない。

今作でもチャステインのギターと一発で分かる黒光りする艶めかしメタリックギターを奏でているだけに尚更な気分だ。レザー・レオーネの声も聞こえてきそうな重厚なナンバーもあるし、その路線との違いを打ち出したストレートなメタルサウンドもある。いずれにしろ質の高い硬派なメタルサウンドは、メタリックに研ぎ澄まされた感性がギラリと光りを放つ歯ごたえのあるものばかりだ。
それだけに、この時期の活動がうやむやになっているようで、親でも親戚でもないのに歯がゆい気持ちにさせる。

CHASTINのドラマ性よりもストレートな感性を優先、アメリカンなノリも多少あるが、ゴツゴツとしたパワフルなサウンドは独特の緊張感を生み出し聴き手をねじふせて聴かせるだけの説得力がある。
それはこのバンドがアメリカ産とは思えない、暗く湿った重々しいメロディを持ち合わせており、強烈なインパクトを残しているからだ。またこの時期溢れかえっていたシュラプネル系の速弾きギタリストは一線を画す独特の攻撃的なギターも魅力的だった。

いまでは『2-4-1』というタイトルで1stとのカップリング仕様で手に入る一品。浮かれ気分のアメリカとは違う、硬派なスタイルを知りたいマニアなら手にとって欲しい一枚です。最近のリバイバルブームによる安っぽい再構築アルバムや、メイデン・JP直系の安直なスタイルではない本気のアメリカンメタルを楽しめますのでね。

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