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Carthago / VETO
火薬バカ一代 ★★ (2017-03-26 09:19:40)
ずっと「ベト」「ベト」呼んでいましたが、そうか。読み方は「ヴィート」でしたか…という、西ドイツ(当時)出身の5人組が’88年に発表した2ndアルバムにしてラスト作。
表題が『カルタゴ』で、まるで『蛮勇コナン』の世界から抜け出してきたようなマッチョ戦士が歯茎剥き出しで迫り来るアートワーク、そして裏ジャケ記載の出鱈目な日本語解説《またそうしてこの世界帝国が消えてしーた》…。バブルとは百万光年ぐらい無縁のこれら時代錯誤な要素の数々だけで、カルトなHMサウンドへの期待に胸が高鳴るってもんですよ。
ところがどっこい。実際に作品を再生してみるとOPを飾る①はタイトなメロディック・ロック。その後に続くのがサビメロの明快な展開がHELLOWEENを彷彿とさせる疾走曲②で、③は哀愁のミッド・チューン…といった具合に、その音楽性は案外スマートで柔軟性に富む。Gはピロピロと弾きまくっていますし、Voも時折声が引っ繰り返りそうになる危うさはありつつも、要所で堂々たる歌いっぷりを披露していて侮れません。特にエキゾチックな雰囲気を湛えつつ、7分以上の長尺をムキムキ且つドラマティックに物語っていく④は、こっちの期待と楽曲の方向性が見事に合致したエピック・メタルの名曲。
SCORPIONS~ACCEPT~HELLOWEENというジャーマン・メタル・シーンの音楽的変遷をフォローするかのような収録楽曲は、これはこれで手堅く聴き応えも十分。もう少し大きなレーベルに所属出来て、薄っぺらい音質を向上させて、音楽性とパッケージの乖離をどうにかしていれば(課題多過ぎだろ)ブレイクも夢ではなかった…かも?でもこのチグハグさが一部マニアからカルト的人気を獲得するに至った理由なのかもしれません。

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