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Providence of Darkness / DARK INSANITY
Usher-to-the-ETHER ★★★ (2014-12-08 22:16:01)
2014年発表の2nd。
これ、今年のリリースの中でも激オススメです!

1stの時点では「和製CRADLE OF FILTH」と言われつつ、その実メロデスにかなり近いスタイルのメロブラを展開していましたが…今作はクオリティが鬼アップしただけでなく、作風がより確固たるものになったことで、前作以上に素晴らしい作品になっているように思います。国産ブラックの中でもかなり好きな音です。

まず耳を突くのがゴシック的耽美さの大増量っぷり。元からメロディにクラシカルな要素はありましたが、今作は泣き以上に美しさを最重要視しているような印象。小フーガをモチーフにしたと思しきトレモロリフなんか聴かされたら燃えない訳がありません。ピアノやオーケストレーションを大々的に取り入れたことも、耽美さを強めただけでなく曲のメリハリを際立て、より緊張感の増した展開を聴かせるようになったと思います。

また、前作でも個人的な評価の高かったメロディアス極まりないトレモロリフはそのままに、ギターの歪みを強くして得たノイジーさと、空間系のキーボードを合わせたアトモスフェリックブラック的なパートも取り入れるようになったり、ブルータルに攻めるパートでの攻撃性が強化されたりなど、ブラックメタルの要素も更に「濃く」なっている感じがします。

ヴォーカルも大分パワーアップした感じで、DARK FUNERALのCaligula氏を思わせるタメの利かせ方、腹筋を全力で使ってるような絶叫振りですが…Caligula氏が殺意100%だとすると、この作品のヴォーカルは欝や悲哀など色々な感情が入っている感じで、よりエモーショナル。単純な攻撃性ではCaligula氏に軍配が上がるかもしれませんが、この人の肺腑から様々な感情を搾り出すような悲痛さと、決してそれを滑稽に聴こえさせない太さのある歌い方は味があって本当に好き。

ゴシックにしろブラックにしろ、ジャンルを良く研究した上で作ったというのが伝わってくる作品。研究したという以上に、それを自分達の作品として見事に昇華してみせているのがほんと素晴らしいです。曲によってはBeneath the Howling StarsやBathory Ariaへのあからさまなオマージュも見受けられ、前作よりCOF愛がダイレクトに感じられるのもいいですね(笑)。邪悪さよりは耽美さや煌びやかさ、メロさを重視した作風なのでJUNO BLOODLUSTやHATRED ANGEL辺り好きな方にも大推薦。

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