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Excalibur / GRAVE DIGGER
失恋船長 ★★★ (2014-09-18 13:46:07)
1999年リリース、アーサー王の伝説をモチーフにしたコンセプトアルバム第3弾。3作続けてのコンセプトに特化した作風は前作以上の練り込みを魅せ中世ヨーロッパな雰囲気をふんだんに盛り込んだ内容となり、その成熟ぶりにまずは耳を奪われます。今まで以上にコーラスパートに厚みをもたせたクワイアパートの導入が勇猛さに拍車をかけヒロイックなイメージが増幅された分、男気もUP。パワーコードを奏でるメタルリフ、強靭なビートを刻むツーバスと頑固一徹なジャーマンスタイルを信条に今作はより多彩な面を演出しています。アコギや管楽器を巧みに使い緩急をつけ、少々一本気で流れていきそうな展開にくさびを打ち、物語の起伏を明確なものとした事が、ドラマ性の開花へと繋がります。その練り上げられたメロディの扇情力は過去最高のクオリティを誇り、従来のパワーメタル路線へとの距離を計り柔軟さと、剛毅なスタイルを取り込んだバランスのとれた作風へと仕上げていきます。ここにきて次はどうなるのかなという手詰まり感は感じなくもないが、やりすぎな歌劇団風のような仕掛けの無いエピカルなパワーメタルは彼らの音楽性としては許容範囲内の冒険だし、ジャーマンパワーメタルの草分けとしてのプライドを如実に感じさせる独自のエンタメ性を爆発させた意欲作ですね。時系列でアルバムを聴くと本当にこの広がりのある音を感じさせる姿に驚かされましたよ。これも時代を生き抜く方法論なんでしょうね。
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