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Siren Charms / IN FLAMES
ヤングラジオ ★★ (2014-09-11 14:54:48)
IN FLAMESの作品に、突然変異は存在しない。
前作から、約3年ぶりの新作も、これまで彼らが培ってきたらしさの上に存在する内容に仕上がっている。
イェスパー在籍時の集大成は、「Come Clarity」だと思うけど、次作「A Sense Of Purpose」には、まだイェスパーの香りが存在していた。しかし、楽曲を個別に見ていけば、明らかに変化の兆候はあった。
でも、それが例えイェスパーの貢献度の低さからくるものだったとしても、楽曲を総合的に練り上げる事で、リフや楽曲の弱さを上手くカバー出来ていたように思う。
そして、前作「Sounds Of A Playground Feding」では、イェスパーの不在が心配されたけど、彼らの総合力の高さを改めて示した作品になった。
確かに、「Reroute To Remain」から顕著だった、ファストでありキャッチーであり、またリズミックでもありながらダイナミックでもある、かつての姿はそこには存在しない。
だけど、ここ数作で飛躍的に成長した楽曲を練り上げる力が、弱点をカバーするという、最近の彼ららしさが満載の作品に仕上がっていた。
そして、最新作である。
僕は、前作を聞いたとき、「ここまででどうか踏ん張ってほしい。」と、今後起こりうるだろう変化が気になった。
変化を否定するつもりは無いけど、僕が彼らに求めるものがこれ以上少なくなるのは、正直寂しい。
前作で、イェスパー不在でもやっていける事の証明は十分できたけど、このままいけば次の作品がこうなることは容易に想像できた。
後出しジャンケン的な発言はしたくないけれど、新作の内容は僕が予想したものに限りなく近かった。
これを、どう捉えたらいいのか。
僕は、初期~中期のメロディック・デス路線よりも、「Reroute To Remain」~最新作に至る路線の方が圧倒的に好きである。
意識的な変化と必然的な変化・・・・・その比率は時によって違えど、彼らには常に両方が存在している。
「一歩も二歩も先に進んでしまった・・・・・。」
「いや、進まざるを得なかったのではないか・・・・・。」
これが、僕の「Siren Charms」に対する率直な感想である。
だからと言って、この新作の出来が悪い訳ではない。
むしろ、作りこんでくる力に関しては、ここ数作品は見事としか言いようがない。
もう、ある意味Vo.の事なんて無視したアグレッシブでメロディックな楽曲による、かつてのIN FLAMESではないけれど、このシリアスさも新たな魅力と考えれば、やっぱり凄いバンドである。
今まで、あまり注目されなかったけど、彼ららしさの構築に多大な貢献をしていたアンダースのVo.の説得力は、過去最高である。
イェスパーが不在になり、音楽性は確かに変わった。
だけど、ここまで出来るバンドとしての底力には、正直驚かされたのも事実である。
一枚のアルバムとしての統一感は、前作をも上回り新たな魅力の一つになりつつある。
客観的に言っても、完成度はかなり高い作品である。
結果として、期待していたものとは大きく違っていたけれど、これはこれで良いと納得させる魅力が、この作品にはある。
僕は、彼らを否定できない・・・・・。
黄金期を経過した彼らの新たな一歩が、ここから始まる・・・・・・。
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