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Moon Dancer / Moon Dancer
火薬バカ一代 ★★★ (2014-06-25 23:44:32)
VOW WOWのKey奏者、厚見玲衣(当時は「厚見麗」)が在籍していた和製プログレッシブ・ロック・バンド、'79年発表の唯一作。
本作において、厚見は流麗な指捌きだけに留まらず、ほぼ全ての収録曲の曲作りを担い、さらに堂々たる歌声でリードVoまでこなすというマルチな才能を披露。特に優美なストリングスもフィーチュアされたシングル曲“アラベスク”を後追いで初めて聴いた時は、「VOW WOW時代だけでこの人のことを知った気になってたけど、実はもっと凄いミュージシャンだったのね・・・」と唸らされましたよ。
華麗なるKeyワークがサウンドの基盤を作り上げ、王子様風の端正なルックス&精緻な演奏力を兼ね備えたメンバーらによる、技巧とアレンジの粋が凝らされた本編は、例えば三部構成の組曲“哀しみのキャンドル”のようなプログレ然とした大作ナンバーを収録しつつも、主役は飽くまで「70年代少女漫画風」とでも言うべき(?)甘やかでリリカルなメロディ。QUEENに通じる演劇的曲展開やポップ・センスが秀逸なOPナンバー“鏡の中の少女”や、張り詰めたスリルとドラマを湛えて駆け抜ける“ダディ・マイケルの犯罪”等、ブリティッシュなメロディを、アメリカン・プログレ・ハードばりのキャッチーな楽曲構築術で聴かせきる名曲に難解さは皆無です。
これを逃すとまた何年も廃盤・・・なんてことになりかねないので、この機会に是非。
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