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Simulacra / DEVILISH IMPRESSIONS
Usher-to-the-ETHER ★★★ (2013-02-20 00:35:04)
2012年発表の3rd。
まず帯の「BEHEMOTH、DIMMU BORGIR、EMPERORファンにお勧め」というジャンルの大家ばかりが並ぶコメントからして目を引きますが、それがハッタリに思えないくらいクオリティの高いシンフォブラック。特に、シンフォブラックってクサメロを派手にブチ撒けるバンド、アトモスフェリックな妖気の漂うバンドはいても、EMPERORに通じる神話的な神秘性を感じられるバンドってなかなかレアなんですよね。この作品はそれが感じられるのがまず素晴らしいと思う。
音的には、「Puritanical~」期のDIMMU BORGIRを思わせる、ヘヴィネスも備えたモダンな質感のあるシンフォブラックという感じですが、高音Vintersorg似、中音域はIhsahn似のクリーンを大胆に取り入れた、後期EMPERORの「Elegy of Icarus」「The Eruption」辺りのエピックな曲から直接の影響を得たであろう展開の楽曲があったり、キーボードの高貴な邪悪さがやはり中期以降のEMPERORを思わせる部分があったり、聴いていてどこかEMPERORの影もちらつくサウンド。
何気にこのクリーンヴォーカルが、神話の主人公になりきっているような悲哀やナルシシズムが感じられて絶品なんですよね。単に反宗教だけでなく、神話や文学にも食指を伸ばす歌詞の世界観とも合っているのでは。また、デス声によるキャッチーなサビやヘヴィな音圧を伴い畳み掛ける突進パートを含む曲もあり、こうした楽曲ではBEHEMOTHを思わせる場面も。と言っても各バンドの影響が未消化で散漫という訳では決してなく、しっかり自分のものにして聴きやすく仕上げているのが素晴らしい。
帯に書いてあった3バンドありきで話を進めてしまいましたが、これら先人の名前を出さずとも、一回聴けばそのクオリティの高さで聴き手に強い印象を残せる、非常に優れたシンフォニックブラックだと思う。神秘性やドラマ性に優れた、キレのある音源を求めている方は是非。上記3バンド以外にもCRIONICSやSAMMATH NAURなどのポーランド産ブラック好きにもお勧め。変なマイナー臭もなく、取り合えず日本盤クラスだと思います。
→同意