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Vexing Verses / THE ARRIVAL OF SATAN
Usher-to-the-ETHER ★★★ (2012-09-16 00:18:43)
2009年発表の2nd。
今にも自傷に走りそうなモノトーンジャケもヤバいですが、中身はジャケ以上に激ヤバな代物ですよ、これ…。

まず1曲目を聴いた時点で圧倒されるのが、殺意すら感じる音圧。ノイジーなギターリフも轟音といって差し支えないんですが、ドラムの演奏終わったらドラムセット一台オシャカになってるんじゃないかと思うようなカチコミブチ切れシバキ倒しっぷりが半端じゃないです。このドラミングが主軸となったやたらやかましい爆音は、プリブラのシャーシャー系ともウォーブラックのボロボロ系とも違ったRAWさがあって、辛口ながらも非常にかっこいい。

…と、まずはその殺気溢れる出音に圧倒されるんですが、よく聴くとリフの質感も独特。意識の底の底まで冷えるような、黒い光を放つうねりが込められているような感触で、一般的なプリブラのトレモロリフやオールドスクールなリフとは明らかに違う感じ。むしろ波動を感じるような音色のリフということで、テイストとしては音響ドゥームに近いのかも。ファストパートのインパクトが凄まじいですが、実はミッドテンポのパートにもそれなりに時間が割かれてますが、そのパートもリフの独特さや音作りでかなり魅力的に聞こえる。

また、ヴォーカルもブラックメタルのジャンルでも常軌を逸したキチっぷりで素晴らしい。タイトル曲の捲くし立てとか絶叫なんて、バイオハザードとかでウイルスに冒されてゾンビ化する人間が壊れていく理性に怯えながら叫んでいるかのような切羽詰った狂気を感じるし、7曲目のラストの息を切らしながらの叫びは聴いているこっちの息が詰まるほど。正直このヴォーカルのパフォーマンスだけで★3つ付けてもいいくらい。

「何かに圧倒されたい」という動機で、ブラックメタルを聴くことに手を出したような方にはまさにうってつけな作品。同郷のバンドではANTAEUSやAOSOTHなどが好みの方にもお勧め。こっちの方がもっとマニア向けですけど。

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