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Wanderlust / FINNR'S CANE
Usher-to-the-ETHER ★★★ (2012-03-20 22:30:39)
2010年発表の1st。
1000枚限定でしたが、11年にProphecyより再発盤も出ています。
音像全体に拡散する、ギターリフのノイズに覆われた中で展開する、ザラついた抽象的ムードの強い音作り、攻撃性よりも寒々しく神秘的な雰囲気作りを重視した曲展開、音像に溶け込み、淡々と何かを唱えるようなクリーンヴォーカルなど、シューゲイザー系ブラックとも共通点の多い作風の、アトモスフェリックでダークなブラックメタル。アコースティックなパートでの、メタリックでないどこかお洒落さを感じるドラミングも雰囲気あって良い感じです。
この作品、メロディの叙情性やアコースティックパート等からは土着的なメロウさも感じられるんですが、それと人を寄せ付けないようなミステリアスな雰囲気だったり、神秘性を両立させているのが素晴らしいんですよね。単に神秘的と言うより、もっと底知れないような、ダークなムードがある感じ。リフの歪ませ方もシューゲイザーの激情的な感じよりは、ブラックの粗さを強く感じさせますし、この手の中でもブラック特有の暗黒な感性をしっかり継承してる音になってると思う。
この作品、リリースから1年でALCESTやLES DISCRETS、ARCTIC PLATEAUなどのリリースで知られるProphecy Productionsから再発されてるんですが、レーベルが目を付けるのも良く分かる、ムード作りの上手さが光る作品。AGALLOCHやALTAR OF PLAGUESなど、この系統でもブラックの寒々しさや邪悪さの強いバンドが好きな方にお勧めです。
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