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We the Fallen / PSYCLON NINE
Usher-to-the-ETHER ★★★ (2011-05-01 20:48:28)
2009年発表の4th。
このバンドは初見なので、今までどういう音楽的変遷を重ねてきたかは分かりませんが、この作品を聴く限りはインダストリアル・ブラックと言うよりも、ブラックンド・インダストリアルとでも呼びたくなるような音を出してますね。ハイピッチの絶叫、終末的ムードなど明らかにブラック風味ではありますが、インダストリアル/EBMの方がベースになっている音だと思う。
ヴォーカルは絶叫スタイルながら人間的な感情が失われるレベルまで歪んだ声の上、エフェクトが掛けられてるし、ギターリフのノイズよりもインダストリアルノイズとマシンビートが音の空間を埋めているしで、人間性を排する事で厭世感や終末感を表現する事においては、一流のインダストリアル・ブラックよりもたぶん上だと思う。この人間味のない音が、ダークで美しいキーと重なると世界の終わりが近づいているのが体で実感できそう。
…インダストリアルブラックって、音響的な部分をリフのノイズで表現する事が多くて、それが時に聴いててしんどい時もあったりするんですが、このバンドの音はギターリフのノイズを使うにしても、機械音のサンプリングを使うにしても、使い方が非常に丁寧で、ある意味聴きやすい。音楽を聴いている事を忘れて、その暗黒な世界観に取り込まれる感覚を覚えさせる辺り、ほんと一流の音って感じです。
インダストリアル/EBMがベースの音ですが、ブラック好きにも非常にお勧めな一枚。特にインダストリアル系以外にも、アトモスフェリック系やアンビエント系など、情景描写重視タイプのブラックが好きな方なら確実に何か感じるものがあるはず。
→同意