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Black Rivers Flow / LAZARUS A.D.
火薬バカ一代 ★★ (2011-04-05 23:50:20)
もともと、良くも悪くも「スラッシュ・メタル馬鹿」という感じはなく、ある程度モダンな要素も飲み込んだサウンドを身上としているバンドだったが、本作はその「モダン」部分を更に拡大。前掛かりな疾走感が薄れた代わりに、図太いヘヴィネスとメロディが増量されており、Voの歌唱法も、ストレートなシャウト型からスクリームとメロディアスな歌い上げを使い分ける、所謂メタルコア・スタイルへと変化を遂げている。
「自信満々に演ってるけど、これって90年代に、流行におもねったスラッシュ・メタル・バンドが散々俺らを失望させた音だよオイ」と、思わず苦言の一つも呈したくなる作風だが、グッと文句を堪えて本作を聴き込んでみると、これが存外楽しめる。
タイトに組み上げられた⑥⑧等の楽曲が如実に示す通り、キャッチーなGリフ作りの腕前が健在である点や、2本のGが奏でるメロディが前作以上のドラマ性を有している点もその要因だが、何より現代っ子バンドたる彼らは、かつて先輩バンドが扱い慣れぬヘヴィネス&グルーヴを持て余してたのに比べ、そうした要素の導入が非常に自然で無理がない。
タフでストロングな疾走ナンバー③や、緩急を飲み込んだ劇的な曲展開が炸裂する④⑩なんかは、このアルバムならではの名曲と言えるのでは?
もはや「スラッシュ・メタル」で括るには無理のある作品だし、正直にぶっちゃけりゃ前作の方がずっと好みだが(毒)、これはこれで案外お気に入りの1枚。

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