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Streets: A Rock Opera / SAVATAGE
火薬バカ一代 ★★ (2007-07-25 22:34:00)
ロック・スターD.T.ジーザスの栄光と挫折、孤独と絶望、そして救済を、大都会NYへの愛憎半ばする複雑な思いを交えて綴る、
一大ロック・オペラにして、SAVATAGEの最高傑作と呼び声も高い、'91年発表の6thアルバム。
プロデューサーのポール・オニールが執筆したという、深みのあるストーリー展開も然ることながら、
それ以上に評価すべきは、捨て曲なしの楽曲の素晴しさ。個人的に、9th『DEAD WINTER DEAD』以降の作品は、
立派なコンセプトに楽曲の質が追い付いていない印象があったのだが、本作に関しては両者共に文句なし。
1曲1曲が独立して起承転結を主張していた前作に対し、こちらは全体の流れで起承転結を演出する構成ゆえ、
その流れを壊してしまうような突出した名曲こそ収録されていないものの、荘厳な少年合唱隊のコーラスをフィーチュアした①、
劇的極まりない⑧、クリス・オリヴァのエモーショナルなGプレイが堪能できる⑨、物語のクライマックスをドラマチックに飾る
感動的な⑫といった楽曲を筆頭に、収録曲の平均レベルは、傑作『GUTTER BALLET』と比べても何ら遜色ないクオリティ。
そして何より特筆すべきは、それらの楽曲を歌うジョン・オリヴァの絶品のVo。癖の強い声質は好き嫌いがハッキリと分かれるが、
シンガーとしての実力は折り紙付きの彼氏。特に、SAVATAGEサウンドの大きな武器の1つである気品漂うピアノをフィーチュアして、
絶望/孤独/悲しみといった感情について歌った③⑥⑩における、胸が張り裂けんばかりの絶唱は、息苦しいまでにエモーショナルで涙モノ。
このアルバムを最後にバンドを去ることになるジョン・オリヴァだけど、最後に良い仕事しましたなぁ。
尚、当然の事ながら、本作を買う場合は必ず歌詞カード付きの国内盤を購入すべし。ストーリーと楽曲の完璧なシンクロっぷりが
一層の感動を演出するし、何より歌詞が分からないと、③⑤⑪⑫に仕掛けられた「場面転換」の意図が伝わらないような・・・。
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