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恐怖のレストラン / 聖飢魔II
火薬バカ一代 ★★ (2008-08-14 19:15:00)
作品を重ねる毎にメタル色が薄れ、洗練されたHRバンドへと変化していった聖飢魔Ⅱが、久々に原点回帰を志向し、
デーモニックなコンセプトを前面に押し出して制作・発表した、'92年リリースの7thアルバム。
原点回帰と言っても、別に1stや2ndアルバムの頃のような、様式美HMスタイルに戻ったわけじゃなく、
重厚なGリフに絡む呪術的なリズムが、禍々しい雰囲気を演出するOPナンバー①に代表されるように、歪んだ音色で
荒々しくシュレッドされるGリフ、重く叩きつけられるようなリズム、そして、いつになくヒステリックな歌唱を響かせる
デーモン小暮のパワフルなVo・・・と、その作風は、数ある聖飢魔Ⅱのアルバムの中でも、断トツのバイオレントさを誇る。
ダークなヘヴィネスが強調され、従来の聖飢魔Ⅱの作品において顕著だった「遊び」や「笑い」の要素が極力抑えられた
シリアスな楽曲は、けっこう真剣に恐ろしく(③④とか)、まさに「ホラー・メタル」の面目躍如といった感じ。
但し、今回は上で別の方が仰っている通り「オカルトっつーよりも、スプラッター」なノリゆえ、かなり好き嫌いが分かれるし
(ジャケット・アートワークもスクリーミング・マッド・ジョージ氏が手掛けている)、初期のような劇的なメロディも、
中期のようなキャッチーなメロディも聴く事が(あんまり)出来ないので、その辺は覚悟して挑むべし。
美しくも不気味なインスト⑥を序曲に、血も凍る女性の絶叫からスタートする、ハイテンションな狂気を撒き散らす⑦や、
閣下の驚異的にブルータルなVoをフィーチュアして突っ走る、ダークでパワフル、それでいて正統派へヴィ・メタリックな
カッコ良さも兼ね備えた激烈スピード・チューン⑨、ゴシカルな雰囲気を漂わせた、10分以上に及ぶオペラティックな大作⑩など、
聖飢魔Ⅱの暗黒面を代表する名曲を数多く収録。このサイトでは評価が割れているようなれど、個人的には
彼らのオリジナル・アルバムを集め始める切っ掛けともなった作品であり、非常に思い入れのある1枚。力作。

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