この曲を聴け! 

Outrageous Reverie Above the Erosion of Barren Earth / ODEM ARCARUM
Usher-to-the-ETHER ★★★ (2010-04-11 22:27:00)
2010年発表の2nd。

この作品で初めて彼らのことを知りましたが…調べてみると何とメンバーがSECRTETS OF THE MOONとLUNAR AURORA絡み、しかも所属レーベルがOsmoseで、95年結成のベテランという事が判明。…ここまで聞くともう、実際にアルバムを買ってどういう音か確かめるよりなくなりますよね(笑)。何と言う私ホイホイな経歴なんだ(笑)。

SECRETS OF THE MOONはロックのふてぶてしいリズムとブラックの暴虐性を対比し、よりどす黒い禍々しさを演出することで、LUNAR AURORAはキーボードの音色に拘り、バンドサウンドの音響を操作することで、邪悪さを「魔性」とまで言えるレベルまで高めていましたが…このバンドは、ある程度オーソドックスなブラックの手法を取りながら、幽玄さと不気味さが同居するメロディやプログレッシブな展開で、同様の「魔性」を表現している感じですね。

特にメロディから受ける印象は、他のブラックと比べるとかなり異質で、邪悪さや荘厳さよりも、何か深い澱みの中に引き込まれるような感覚を覚えるんですよね…。リフもトレモロを多用し、正統なブラックに近いですが、所々プログレ方面に転向してからのDEATHSPELL OMEGAのようなひねくれ感がある気がします。ヴォーカルも、あからさまに狂気的なわけではないですが、この得体の知れない世界観の語り部たる威厳があって良いと思う。

…レーベルの販促シールでは、EMPERORが引き合いに出されてますが…
確かに、プログレッシブに構築された世界観や、メタルとしての純粋な質の高さは通じるものがありますが…正直、一曲一曲の個性という点では明らかにEMPERORの方が上だと思う。こっちは、エクストリームメタルとして確固たる展開の上手さ、クオリティがあるにも関わらず、聴いている間中、実体を掴めない闇の中に囚われた感覚を強く覚える作品で、EMPERORよりも明らかにカルト志向の音源だと思います。

カルト志向のものは好きだけれど、実験的な方向には行かず、一般的なエクストリームメタルとしても質の高いものが聴きたい…そんな方にお勧めのアルバムです。

→同意