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Scenes from Hell / SIGH
Usher-to-the-ETHER ★★★ (2010-01-25 21:31:00)
2010年発表の8th。
SEAR BLISSのトロンボーン奏者が参加したことでも話題になった作品ですね。…いきなりですが、今年のベストはもうこの作品で決まりかもしれない(笑)。新年早々、すっげぇものが出てきてしまいましたね…。
路線としては、前作を踏襲した、スラッシュ寄りのメロブラに、地獄の炎が吹き上がるようなド派手なオーケストレーションを組み合わせたシンフォニックブラックですね。ひたすらに壮大で圧倒的だった前作と比べると、それ以前までのプログレッシブで前衛的な感性も、混じり始めている感じがします。
しかし、前作でも散々褒めましたが、このバンドのメロディセンスは異常。
音像の派手なシンフォ系のバンドは結構いますが、この作品はメロディ自体が優れてると思う。例えば、クラスでも楽器が苦手な人が、何とかメロディとして成立しているレベルの下手さでこの作品のメロディをリコーダーか何かで演奏したとしても、悶絶出来るくらいだと思う。
いくら日本人がメロディセンスが優れている(と言われている)とはいえ、流石にここまでのメロディ書ける人は余りいないのでは。間違いなく本物の才能を持っている人かと。しかもそのメロディが、これまた異常なまでの情景描写センスで描かれるのだからもう堪らないですよね。このメロを鳴らすにはこのアレンジが最適、というくらい、どのメロディもハマってると思います。
まあ、オーケストラ(特にブラス)は前述したように地獄の炎のようだし、地獄の針山を転げまわるようなスラッシュビートで疾走するし、ヴォーカルも地獄の炎に焼かれながら苦しんでるみたい(個人的に、川嶋さんのヴォーカルは攻撃性以上に苦悶を吐き出すような感情の濃さがあると思う)だし、地獄しか見えませんが(笑)早口での掛け合いの多いヴォーカルラインも、また焦燥感を煽るんですよね…。
…普通、「クサいメロディ」というと、その語感も手伝ってかどうしても卑俗的なイメージが浮かんでしまうのですが、この作品はその「クサいメロディ」をふんだんに取り入れながらも、卑俗さとは無縁な深淵さ・崇高さがあるのが素晴らしい。マジで中世の名画と同じくらいの芸術性で、地獄の様子を描いた作品だと思いますもん。しかし、地獄の風景ってこんな美しかったんですね…絶対行きたくないけど(笑)。
リアルに地獄へ行って、ロケしてきたとしか思えないような、情景描写に優れた作品。これをジャパメタやブラックが好きな人だけに聴かせておくのは勿体無さ過ぎる。メタルが少しでも好きな人は、前作と合わせてもう全員聴いて欲しいくらいです。
→同意