この曲を聴け!
O / KERBENOK
Usher-to-the-ETHER ★★★ (2009-11-03 09:36:00)
2008年発表の1st。
1000枚限定のA5デジパック版も出てるようです(見た事ないけど…)。
ペイガン/フォークメタルって、個人的には「民族メロディの華麗さで、メタルとしてのインパクトを更に上げる」タイプ(ELVEITIE、TURISAS辺り)と、「メタルの暗黒性とペイガニズムの土着性を掛け合わせ、独自の世界観を追求する」タイプ(GRAVELAND、LUCUFIGUM辺り)に大別されると思うんですが、このバンドはどちらかというと後者寄りですね。
このバンドの場合、素晴らしいと思うのは、ペイガニズムの表現方法への貪欲さ。
他のペイガン/フォークメタル同様、民族楽器による叙情メロ、詠唱系男性Vo&祈祷師系女性Vo、トライバルでパーカッシブなリズムなど「お約束」な部分はしっかり押さえてるんですが、このバンドはそこに留まりません。いかにもペイガン思想の地下プリブラがやりそうな凍てついたトレモロと2ビート疾走、後期THE 3RD AND THE MORTALに通じる幽玄でコンテンポラリーな雰囲気のキーなども取り入れてるほか、部分的ですが、民族メロの素朴さが、シューゲイザー寄りブラックに通じる温かみをもたらしている所もあったり。
個人的には、「Memoirs」期のTHE 3RD AND THE MORTALに通じる音色を取り入れていながら、THE 3RD~が現代的な都市の風景を描いているのに対し、このバンドは土着的な世界観を表現しているのが面白いと思いましたね。相当このシーンを研究し、咀嚼して自分のものにしているんじゃないでしょうか。
音質はクリアながらギターがアナログ感ある歪み方で良いし、様々な要素を破綻無く、ドラマティックに纏め上げる作曲能力、印象にしっかり残るリフなどの個々のパーツの魅力など、どこを取っても上質で、個性的なだけではなくレベルの高い音だと思う。
個性を求めてペイガンメタルに手を出した人や、NEGRA BUNGET、HELLVETO辺りのファンにお勧めです。
→同意