この曲を聴け!
Hangman's Hymn: Musikalische Exequien / SIGH
Usher-to-the-ETHER ★★★ (2007-05-23 16:47:00)
2007年発表の7thフルアルバム。
私はSIGHを聴くのはこの作品で初めてなんですが、冗談抜きで感動しました。こういう素晴らしい音に出会ったときの喜び、驚きこそが私にとって音楽を聴く醍醐味。…それを再確認させてくれる、凄い作品でした。今まで聴かなかった自分が憎い…!!
音楽的には、簡潔に言えば解説にもあるように、シンフォニックな要素を取り込んだスラッシュ寄りブラックという感じ…なんですけど、この感動はとてもそんなものでは…。まずシンフォ要素が凄く、咆哮するブラス、舞い踊るストリングス、畏怖を覚える程に荘厳極まりないクワイアなどが、燃えさかる地獄の劫火のような視覚的イメージや、それに骨まで焼き尽くされるような感覚的イメージを喚起します。ど派手なオーケストレーションではANOREXIA NERVOSA辺りを思わせますが、取っ付き易さや曲・アルバムの構成では上と言えるかもしれません。
…ここまで派手な音だと、ブラック好き以外にもクサメタラーの意見も聞いてみたいところ。
意外とこれ聴いてガッツポーズしてしまう人も多いのでは(笑)
また、アルバムを通して歌詞やメロディにおいて、ある曲での重要なフレーズが他の曲でも用いられていたり、コンセプチュアルな構成になっており、特にタイトルトラックのサビメロは1曲目や5曲目のエンディングを始めとして、7曲目のサビや第三幕の序曲などアルバム中に幾度も登場する重要な主題になってますが、そのメロディが神懸かってる(ブラックメタル的に言うと「悪魔的」の方が正しいかな?)ので、何度聴いても悶絶できます。ぶっちゃけ、このメロディだけでも2500円は惜しくないと思えるほど良いメロディです。そして遂にタイトルトラックのサビでそのメロディが来た時の感動といったら…。
解説や対訳も本人の筆によるもので、アルバムの音楽的仕掛けや歌詞の内容などに言及しており、より感情移入しより楽しめるものになっているのもいいですね。…それだけでも充分過ぎるくらい素晴らしいアルバムなんですが、真に凄みを感じるのはそれらの要素にリフ捌きのかっこよさだったり、ブラックとしては珍しく全曲Gソロがあったりヴォーカルの絶叫だったりといった、メタルとしてのかっこよさの根幹が全く飲み込まれていないことかもしれません。ブラックメタルとしてというより、純粋にメタル音楽としてかっこいい音楽だと思います。ブラック好き以外にもそれ程敷居は高くないかと。ヴォーカルはブラック特有の喚き気味のデス声で、鋭くキレがありこれも実にかっこいい。曲によっては悪魔の嘲笑までこなしていてかなりの表現力です。
…たまに洋楽にかぶれすぎて日本の音楽を切り捨ててしまう人がいますが、私的にはそういう人はムカつくというより可哀想です。こんな素晴らしいものを拒んでいるのだから。ほんと、日本に生まれて、メタルを愛するようになったにも関わらずこの作品を聴かずに死ぬなんて大いなる不幸ですよ。なので、そういう人も下らない洋楽コンプレックスなどとっとと捨ててこれ聴いてぶっ飛んで下さい。世界が変わるかもしれませんよ。
言うまでも無く、日本のメタルやブラックが好きならば当然必聴。今ブラック基本の名盤X枚とかいう企画をやったら入るんじゃないでしょうか。っていうか私が撰者だったら間違い無く入れます。長くなりましたが、とにかく凄い作品という事です。是非聴いてみてください!!メタルを愛聴する全ての人にお勧めしたい大名盤です。
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