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In Abhorrence Dementia / LIMBONIC ART
Usher-to-the-ETHER ★★★ (2007-02-28 01:41:00)
97年発表の2ndアルバム。

LIMBONIC ARTの作品で名盤はどれかというと、一般的にはブラックメタルに欠かせない呪術的雰囲気の濃い1stか、いかにもエクストリームメタル然とした暴虐で音圧のある3rdが挙がる事が多い様ですが、個人的にはデモ再録の「EPITOME~」とこの作品を推したいです。

この作品は、LIMBONIC ARTのアルバムの中でも最もキーの活躍するアルバムだと思います。
ギターリフはやや潰れ気味の音色であまりメロディが感じられませんが、その代わりに時に空間的な音色、時にフルートなどの華やかな音色を用いたキーボードがリフの役割を果たしているという感じ。

そのキーボードはほぼ途切れる事無くサウンド全体を覆い尽くしているし、音色もメロディも華やかで、時にはクサメロ好きにもアピール出来るほどの豪奢なメロディも登場するので、キーの印象としては家中の蛇口を全開にして放置した感じ(笑)。

それくらい、キーのメロディが洪水となって襲い掛かってくるような音作りで、もはやこれは「シンフォニック・ブラックメタル」というか「ブラックメタル・シンフォニー」って感じです。
つまり、シンフォ要素がブラック要素を飲み込んでしまってます。これを聴いているとキーボードがどれだけ素晴らしい楽器か良く分かりますね(笑)

個人的に、バンドサウンドとシンフォ要素の兼ね合いではANOREXIA NERVOSAの「NEW OBSCURANTIS ORDER」辺りが理想的なバランスなんじゃないかと思ってるんですが、このアルバムはシンフォ要素を強めるあまり別の理想郷に辿り着いてしまったという感じ。しかも97年の時点で。

LIMBONIC ARTが出てきたことでシンフォニックブラックは一つの完成を見たという意見をどこかで聞いた覚えがありますが、これを聴くと頷けます。ほんと、これを作ったメンバーは天才と言っても過言ではないでしょう。

しかし、発売されてから結構経つのにまだ書き込みがないと言う事は、このアルバムを買っている人は案外少ないんでしょうか。かなり勿体無いです。名盤ですよ。

→同意