躍進→改名→解散→METALLICAによる再評価を切っ掛けに復活…という浮き沈みを経た、スコットランド・エディンバラ出身の5人組の活動を総括する2枚組ベスト盤(’03年)。 「METALLICAが“THE SMALL HOURS”をカヴァー」「物騒この上ないバンド名」といった要素から、勝手にスラッシュ・メタルのご先祖様的な音を期待してデビュー作『THE NIGHTCOMERS』(’81年)を購入したら、聴こえて来たのは特別速いわけでもアグレッシブでもない曲調に、のっぺり声でぶっきら棒に歌うVoが乗っかった、ごくごくシンプルなHMサウンド。「思ってたんと違う」と勝手に立腹した挙句、速攻CD売っ払ってその後彼らの作品に触れる機会はなかったのですが、本ベスト盤のリリースを契機にふと思い立ってもう一度対峙してみたら、これが意外なぐらい楽しめてしまったというね。 特に、サバシーなGリフが引き摺るように刻まれる“MAVROCK”や、不穏に渦巻くヘヴィネスの中をVoが浮遊する“THE NIGHTCOMERS”、不協和音がオカルト/ホラー映画のテーマ曲みたいな不気味さ漂わす“THE SMALL HOURS”といった名曲は、(他の方が別項で指摘しておられる通り)、彼らの影響が、スラッシュよりも寧ろドゥーム・メタルやオカルト・メタルといった暗黒メタル方面に伝播していったことを物語るカッコ良さ。 と同時に、Gリフに潜むササクレ感はやっぱり彼らがスラッシュ・メタルの源流の一つである証左と言えますし、GAMMA RAYがカヴァーしたHOLOCAUSTの代表曲“HEAVY METAL MANIA”におけるツインGの絡みの熱さも、NWOBHMバンドならでは。 HOLOCAUSTの活動履歴を振り返るのに便利な1枚なので入門盤にどうぞ。