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ヘヴィメタル/ハードロック
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Whispers of Lore
(2023年)
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1.
失恋船長
★★★
(2024-11-24 00:15:48)
キプロスからやってきた時代遅れのNWOBHM仕込みな正統派メタルバンドのデビュー作。ヴォーカルは女性で、少々堅苦しい歌い方をするのだが、このメイデンよろしくな古典的サウンドと微妙な組み合わせであり、ある意味、彼女の歌声がより古くさいテイストへと向かわせているのが思いしろい。
サウンドメイクも現代的なテクノロジーを駆使した80年代初頭のサウンドであり、その望郷感は哀愁のメロディからのたっぷりと漂っている。ギャロップするギターとスティーブ・ハリス風のランニングベースは、やはりメイデンだが、このバンドはもっと根っこのところで古典メタルをやりきってくれる。
その古くささが賛否を別けるだろう、しかし、時代の流されないスタイルというのは崇高であり、ある種の敬意をもつ身としては、こういうメジャーフィールドから相手にされない音源は大好物だ。全く雑誌を読まないので時代の流れを知らない、そもそも興味がないので感化されない。時代遅れで構わない。むしろ好きでないバンドを雑誌が褒めたからといって、今まで聴きもしなかったメタルコアを急激に褒め出す高齢者を見るほど辛いモノはなかった。
このバンドは嘘をつかない。しかし新しい発見もない。過度のスピード感や親しみやすいキャッチーさでお茶を濁さない。それだけに聴き手のバックボーンは重要だが、こういうアーティストをチェックする人は流行廃りとは無縁である。
走り出しそうで走らないメタルは、ある意味エピカルな要素もあるのだが、もう少し歌い手の声に幅があればいいのだが、どれもが似た歌い回しになるので、一旦見失うと似たような曲を永遠と聴かされる気分を味わうのも初心者には勧められないポイントだが、古典派のマニアには、この古めかしい音色には愛着を覚えるだろう。
キプロスからまた有望株が現れた。この荒涼とした歌声も、古典サウンドには似合いっている。
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