W.A.S.P.やSTEELER、更にはWARLORD、HELLIONといったバンドを渡り歩いた、LAメタル・シーンの旅ガラス(?)リック・フォックスにより結成されたSINでしたが、バンド運営を巡る対立が火種となってクーデターが発生。リーダーのリックを放逐して主導権を奪取したその他のメンバーが、バンド名をJAG WIREと改めて'86年に発表した1stアルバムがこちらとなります。尤も、名実ともにバンドの支柱だったリックを欠いた活動は長続きせず、これが最初で最後の作品になってしまったわけですが…。 そうしたゴタゴタの末に生み落とされた本作なれど、内容はメチャ強力。歯切れ良く刻まれるGリフ、躍動感溢れるリズム、フラッシーなGプレイに、コーラスが厚く盛られたサビメロではVoが曲名をシャウトする等、サウンドは典型的な初期型LAメタル・スタイルを標榜しつつも、本編に「レッツ・パーティ!」的な能天気さは薄め。むしろKeyをアクセントに用い、程好く翳りを帯びたメロディが散りばめられた楽曲は欧州HM勢からの影響を伺わせる場面もしばしばで、その筆頭がSIN時代にもシングルとして発表されている、LAメタルの隠れた名曲と評判の疾走ナンバー“ON THE RUN”ではないかと。この必殺の名曲を皮切りに、泣きを湛えたドラマティックなバラード“MADE IN HEAVEN”、KeyとGが火花を散らしながらスリリングに駆け抜ける“TAKEIN’ THE CITY”といった逸品が次々に畳み掛けてくるアルバム後半のカッコ良さは只事じゃありませんよ。(ちなみにオリジナル盤と再発盤とでは曲順が異なっている) 「幻の名盤」扱いが決して過大評価ではなかったと心底納得できる1枚。再発に感謝です。
2021年に『Made In Heaven... Not Dead Yet』というタイトルで再発盤が出た幻の一枚。ライブ音源+前身となるSIN時代のシングル2曲を追加、ある意味バンドの代表曲とも言える『On the Run』のオリジナルヴァージョンが聴けるわけです。 そういうレア度もあがり作品としても価値も上昇。オリジナル盤を見たことがないので分からないのだが、こちらで自動登録されているモノと曲順も違いますので下記にて記入いたします。 1-All My Love 2-Heat Of The Night 3-Traitor 4-Love Can't Wait 5-Nothing At All 6-On The Run 7-Made In Heaven 8-Takin' The City 9-Black Cat 10-Calling You 11-On The Run 12-Captured In Time 13-Rockin' All Night 14-Magic Is Done 15-Not Dead Yet