英国産フューネラルドゥーム2012年作 サブタイトル「The Fifth Year Of My Idiotic War」含め、日本語訳をすると「神はここにいない、私の愚かな戦争の5年目」だろう。 ケースが大きいので購入を控えていたが、先月ついにゲット。DVDやPS4のソフトと一緒に収納せざるを得ないサイズでちょっと困る。 もはやこのタイトルで、聴く前から底辺の残念感が漂い、大方サウンド内容の予想ができてしまう。中身は人生残念感を堪能する鉄板ドゥームだ。 10年前の作品で、録音状態は時代相応と感じさせるが、ノイズの工夫やさりげないサウンドスケープにスキルを感じさせるところは固有の魅力だ。 ここまで残念度が高いと、Andy Lippoldtという人物、果たして友達はいるのか、一体どんな人生を歩んできたんだろうと心配してしまう。 それくらい絶望感が溢れている。この作品は近作よりもアンビエント寄りで表現が直情的だが、激しさはあるものの物静かな暗さの方が勝っている。 Dying in Darkness(2020年)の方が録音がクリアで、起伏があり判りやすい音楽性。どちらも濃い盤だが、今作の方がより上級者向けな気がするね。 若干コモリ気味の録音状態はむしろ味わいとして感じられ、Dying in Darknessとは異なる趣きの作品という捉え方をしている。
英国産フューネラルドゥーム2020年作 Andy Lippoldtという人のドローン寄りインダストリアルドゥームプロジェクト。多くがカセットテープや他バンドとのスプリットなので長く購入を控えていたが CDでのリリース作品を発見したので即ゲットした。恐らく録音年はもう少し前なんじゃないかなと思う。ちなみにDying in the Darkness(2020年)が最新作 ではないかと思うが、コレはカセットテープでのリリース。底辺の良作ドゥーム作品はカセットテープリリースが多いと感じる今日この頃だ。 人生残念ドゥームは結構多いが、WORSHIPやUNTIL DEATH OVERTAKES MEあたりの、群を抜いて底辺を行く絶望感を漂わせるバンドにはそうそう出会えない。 このバンドはそんなレジェンドに匹敵する底辺サウンドを聴かせてくれる。純然たるドゥームといった感じではなく、結構エクスペリメンタルテイストがある。 叫び・嘆きのようなヴォーカルは、ヴォコーダーを咬ませているような電子処理がされ、鈍重な音像のギターによるドゥームを展開させるが ナイロン弦の質感があるギターを織り交ぜ、まるでアングラフォーク独特の翳りとも言える残念感をも併せ持つ。録音の残響は万全とは言えないが 冷たい緊張を表現する様々なサウンドスケープ、蠅が飛び交っているかのような醜悪なノイズなどが、サウンドクオリティを随分と底上げしている。 近年のUNTIL DEATH OVERTAKES MEと同様、ビートを排除した楽曲。底辺の残念感を表現するのに軽快なビートは不要だ。 このサウンドからは、焦土と化した全てを喪失したかのような世界、死体すら腐りきったかのような、孤独感と絶望感が感じられる。 上級者向けドゥームだが、限りなく底辺の残念ドゥーム且つインダストリアル風味を盛り込んだ前衛的なドゥームに興味があれば、コレは必聴盤だ。