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1.
失恋船長
★★
(2018-11-20 10:59:30)
うじきつよし率いる国産ロッカーのラストアルバム。レコード会社もビクターに移籍。常に海外を視野に活動をしていた彼らだったが、今作は彼らの歴史を網羅したようなバラエティに富んだ内容となっており、北斗の拳に提供したようなデジタル歌謡ロックとは決別、本格的なスタイルへと回帰した。このバンドは常に茨の道を歩いていた。ハードサウンドと言うには明るく軽い乗り出し、日本語歌詞もフォークソングみたいな生活臭が滲み出たモノ過ぎでカッコ悪く、微妙な噛み合わせのものが多い。
それでも和音コード、ロックリフ一発のドライブ感のあるポップロックは青空の下が似合う、爽快さもありスタンダードなロック書くあるべきな姿がある。
また今作には島国日本的な情緒のあるメロディもあり、アメリカのノリでは出せない魅力もある。色んな意味でドメスティック過ぎるが、ロックに対する真摯な姿勢が表れているのだ。
形骸化していたロックと言う言葉。菊池桃子ロック歌手宣言ラ・ムーは一生忘れない出来事だ。日本にとってロックと言う言葉は、想像以上に軽いものであり、うじきつよしのような情熱をもって硬派な活動を目指しても実入りは少ない。
旧知の仲のリック・デリンジャーを頼り海外での活動を模索するも、そこまでの個性はなかった。このアルバムを聴けば、方々に気を配りバランスを考えて作られた苦心の跡が伺えるロックアルバムになっている。
解散後はうじきはタレント活動に精をだす。当時は魂を売った売国奴扱いだったのだが、どうせ金儲けするなら愛すべきロックではない道を選んだように感じるのはワタクシだけでしょうか?
一番好きなものを金儲けだけの手段に変換するのは辛いからね。そういう純粋さがあればこそ、鬼のようなライブの数をこなし、ソニーレコードと方向性の違いで袖を分けたあと、自主レーベルからアルバムを作ったりしないよね。
そんな深読みをさせる一枚だった。リリース時は1988年、当時のワタクシにこのような音楽を許容できるスペースはなく、見向きもしませんでしたが、オジサンになり、イメージや見た目だけの問題で判別するのではない、審美眼を少しは身につけたと思うので、彼らの本質であるロックという部分に触れて楽しむ事が出来ます。
2011年に往年のメンバーが再結集。かつてはRAINBOWの国内ツアーのオープニングを務めたバンドです。和製ロックの真髄を見せて欲しいねぇ。
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