4th『PREACHERS OF THE NIGHT』(’13年)を本国ナショナル・チャート第1位の座に送り込み、一躍その名を世界に知らしめたドイツのPOWERWOLF。急遽日本盤も発売された『PREACHERS~』で聴ける劇的且つシンフォニックなパワー・メタル・サウンドのカッコ良さに感心し、こりゃ過去作も是非チェックせねばと思ったのですが、どうしたことか3rd以前のカタログは入手困難。辛うじて購入できた(なぜか近所の古本屋のCDコーナーで売られていた)のが、この'07年発表の2ndアルバムだったという。 荘厳な雰囲気を醸し出すチャーチ・オルガンの多用や、オペラティックな歌い上げとメタリックなシャウトを使い分け、楽曲にシアトリカルな盛り上がりを演出するVoの歌唱等、バンドの重要な個性となる要素はまだ確立には至っておらず、この時点での印象は、BLIND GUARDIAN影響下の豪奢なジャーマン・パワー・メタルといった趣き。(シンガーの歌唱スタイルや声質もどことなくハンズィ・キアシュ似) とは言え、それも飽くまで近作と比較しての話であり、単体で評価すれば、大仰なイントロに導かれてスタートする本作におけるサウンドは、既に十分過ぎるほどに勇壮且つシンフォニック。彼ら特有のキャッチーなメロディ・センスも冴え渡っていて、特にIRON MAIDENばりのツインGフレーズを散りばめつつ疾走する③は、「讃美歌メタル」とでも言うべき厳粛なドラマ性の迸りといい、ライブ映えする荘厳なコーラスといい、バンドの個性を如実に表す名曲にして本編のハイライト・ナンバーの一つではないかと。 POWERWOLFというバンドの非凡な才能が十二分に発揮されている1枚。
ドイツ本国でチャート№1の座を獲得した5th『PREACHERS OF THE NIGHT』の勢いを駆り、'15年に発表された6thアルバム。ついでにここ日本でも漸く国内盤のリリースが実現(前作も同時発売)。更に国内盤は、JUDAS PRIESTの“A TOUCH OF EVIL”、SAVATAGEの“EDGE OF THORNS”、CHROMING ROSEの“権力と栄光”、BLACK SABBATHの“HEADLESS CROSS”etc.といった、思わず「ナイス・チョイス!」と肩を叩きたくなる名曲の数々のカヴァー、全10曲を収録したボーナスCDとの2枚組仕様。しかもお値段はお得な据え置き価格で、これはお買い得ですよ!(ショップTV風に) 音楽性の方も前作同様、シンフォニックなKeyとチャーチ・オルガンを活かした劇的なアレンジ、ラテン語を交えた歌詞を時にオペラティックに、時にメタリックに歌い上げるシアトリカルなVo、それにコーラスを荘厳に彩るクワイアがフィーチュアされた、勇壮にしてキャッチーなパワー・メタル路線を堂々追求。間違いなく日本のHR/HMファンにも希求し得る魅力を満載にしたサウンドのように思われます。 前作と比較した場合、“AMEN & ATTACK”レベルの頭抜けた楽曲が見当たらない…というか、少々楽曲のパターン化が気にならなくもないのですが、それでもスピーディ&パワフルな収録曲は(捨て曲の見当たらない)文句なく高いクオリティを維持。またドラマティック過ぎる程にドラマティックな作風でありながら、無駄に大作主義に走らず、楽曲をタイトにまとめ上げる姿勢も本作の「取っ付き易さ」向上に一役買っているのではないかと。 LOUD PARKで呼んでくれれば、日本でも人気に火が点くのでは?と思わせてくれる1枚。