どうしてこんなに魅力的なバンドなのに説病的なほど知名度が得られなかったのだ?と思わせるバンドは数あれど、このバンドほど作品のクオリティと知名度がかけ離れたバンドのいないでしょう。 Music for Nationsの今は亡きUNDER ONE FLAGからもリリースされたスイス産のスラッシュメタル。個人的にも彼らを知ったのは遅く、2000年に入ってからである。このクオリティなのに仲間内からもこぼれていた事に痛恨の極みを感じるのだが、クールなインストナンバーも知的エッセンスを漂わせ、剛毅なパワフルさやスピード勝負でないことを裏付けているのも見逃せません。良く動き回るリズムは変拍子もバシバシ決め、躍動感がある。歌い手も方向タイプではなくしっかりと歌い込めるタイプだけに、正統派ファンも難なく手にすることが出来るでしょう。NWOBHMからの流れを的確に継承したメタリカスタイルではあるが、随所で感じさせる叙情テイストと親しみやすいキャッチーさ、そこにいい意味でのマイナー臭をぶち込み、アングラメタルなスタイルを形成している。 聴きやすいのだが緊張感が漂い、自分たちの個性を確立しようと努力している点も見逃せません。 古き良き古典スラッシュの調べ、正統派メタルに近いスタイルなのも幅広い層に受け入れられる要素かと思います。なんと言っても北欧マインドを感じさせない無国籍なサウンドだと言うのもポイントでしょう。