優れたソングライターとして、そして腕利きミュージシャンとして、デイヴ・ヒル(Vo)と共にDEMONを支えてきたKey奏者、スティーヴ・ワッツの参加最終作となった'91年発表の8thアルバム。とは言え別に両者の関係が険悪化したとか、そういうマイナス要素が脱退の理由ではなかったようで、それはデイヴが本作をDEMONの重要作品の1つに挙げ、スティーヴのバンドに対する貢献の大きさに謝辞を捧げている再発盤CDの解説からも読み取れます。 んで、そのスティーヴ・ワッツの手によるドラマティックなKeyのイントロに導かれ、溌剌として勇ましいOPナンバー①で幕が上がる本作は、大枠としてはブリティッシュHM路線の名盤だった前作の流れを汲みながらも、全体的にドラマ性とヘヴィ・メタリックな荒々しさは薄らいでいる。起承転結がバッチリ決まった雄々しく力強い③はアルバム屈指の名曲と言えますし、続くこれまた劇的な④、どこかノスタルジックな雰囲気を喚起するバラード⑤、アイリッシュ風味漂う⑧辺りもグッと聴き手を惹き込むパワーとクオリティを有してはいるのですが、アルバム全体を見渡すと強く印象に残る曲とそうでない曲がハッキリと分かれてしまっているため、やや盛り上がりには欠けるかな、と。 尤も、これは前作『TAKING THE WORLD BY STORM』が素晴し過ぎたがゆえにそう感じるのであって、本作単体で評価すれば決してつまらない作品というわけではないのですが。