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1.
Usher-to-the-ETHER
★★★
(2014-04-04 11:45:52)
2013年発表の2nd。
今でこそブラックメタルとノイズ・アンビエントをくっつけて、更にドス黒さを増すような音楽性というのは珍しくないですが…このバンドはDARKSPACE辺りと並んで、その中でも頭一つ抜けた表現力を持っているのではないでしょうか。この作品で初めてこのバンドの楽曲に触れたんですが、そう思う程に圧倒されました。
楽曲はアンビエントに寄ったパートとブラックパートに分かれるタイプの構成ですが、アンビエントパートでも過度に静かにならず、ドス黒く塗り潰すような音圧と、宗教的恍惚を誘発するような妖しげなクワイア、自然音やノイズなどのSEを駆使して、聴き手を本気で殺しにかかっているような、殺気と邪気に塗れた音を聴かせてくれるのがまた素晴らしいんですよね。アンビエント要素は取り入れ方が半チクだと退屈なものになってしまいますが、この作品は退屈さなど全く感じさせません。
そしてブラックメタルパートもまた素晴らしい。アンビエントブラック特有の、黒く塗り潰す系の音像を保ったまま、ブラストビートやトレモロを入れてくるんですが、これが凄まじくマッチしてる。トレモロリフに込められたメロディは邪悪ながら神秘性も感じさせるもので、それがドローンめいた黒い音塊に映え、何か禁忌に触れてしまったかのような背徳的で魔性なムードを醸し出してます。この辺りのセンスは、同郷のLUNAR AURORAの近作にも通じるものがあると思う。
その二つが合わさって出来る世界観は、ダークでダイナミックで、映像的な感じがするんですよね。アルバムの序盤から、何か不吉な予兆…闇に閉ざされて荒廃した世界…神の手ではなく、悪魔の手による掲挙…崩壊する秩序、みたいな、やたらスペクタクルなストーリーが脳内に浮かんできてしまいましたもん(笑)。聴いてる間中、ずっとそんな感じの破滅的でスケールの大きい映像が浮かんでくる。
ブラックメタルバンドってそれぞれに独自の世界観を持っている事が多いですが、このバンドはそこが圧倒的で素晴らしいです。破滅的なヴィジョンを見てみたい方は是非。DARKSPACEやLUNAR AURORAなどが好みの方にもお勧め。
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