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MESSE I.X–VI.X (2013年)
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MESSE I.X–VI.X
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解説 - MESSE I.X–VI.X
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1. Usher-to-the-ETHER ★★★ (2013-10-19 23:52:17)

2013年発表の12th。
2012年9月に、オーケストラと電子楽器を使用して行われたライブや、それに先んじて行われたオーケストラのリハーサルのテイクを元に、スタジオでの作業を加えて完成させた…というかなり変則的な制作状況で生み出されたアルバムらしいです。

最初スピーカーで漫然と聴いていた時は、あからさまに前衛的で奇妙な音や、派手で耳を引く様なオーケストラの主題がないことや、導入部の静寂の長さなどから、前作(60年代サイケカヴァー)が肌に合わなかった事もあって、「最近のULVERはイマイチかも…」と思いかけてたんですが…イヤフォンでしっかり音に向き合って聴いたら印象が一変しました。これ、素晴らしいじゃないですか…!

まずは最初聴いたときにガッカリしかけた、電子音による無音スレスレの導入部ですが…これがちゃんと聴くと実は感動もの。真っ暗な浜辺で、水が足を浸すような感触の音から徐々に音が立ち上がっていき、それをオーケストラが引き継ぐオープニングは、静かながらドラマ性のあるものだと思う。後に続く、オーケストラパートも、思わず息を止めてしまいたくなるような緊張感があって、恐ろしくも美しいです。

一部楽曲ではGarmことKristoffer Rygg氏のあの特徴的な官能的ヴォーカルを交え、電子音とオーケストラを融合させた音像が続いていく訳ですが…それらを融合させている事自体よりも、それによって生み出されている暗黒美に満ちた情景が素晴らしい。抽象的、だけど映像的というか。ゴシックメタル的でも、シンフォゴシック的でもない「ゴシック的美意識」の強く感じられる作品。正直私の知識では音楽的に高尚かどうかは全く分からないですけど、少なくともこれだけは言えます。Garmの音楽的感性は本当に素晴らしく、共感出来る。

当然ながら過去に似た作品のないアルバムですが、強いて言うなら「Quick Fix for Melancholy EP」と世界観が似ているような気もします。こちらの方が作り込まれていて、陰影も濃い感じですが。既にGarm氏の感性の虜であるならばマストバイ、そうでなくてもアーティスティックな暗黒音楽が好きであれば大推薦。ただ、メタルやロックにしか興味がない人はスルーでもいいかも。



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