Paul Di'Anno & Dennis Stratton 名義でリリースされたアルバム。オープニングからリー・ハートの曲で幕開けFASTWAYでもやっていた曲である。こんな調子で大半の楽曲が既発音源という代物。参加メンバーもニブス・カーターやポール・サムソン、ファースト・エディ・クラーク。ナイジェル・グロックラー、ニール・マーレイ、ドン・エイリー、ヴァッキングボーカルではビフ・バイフォードにドゥギー・ホワイトが参戦。もうどっかでやっているやんである。 そんなオリジナルティに欠けた作風ではあるが知らない人にとっては新鮮であろう。ポールとデニスというメイデン組の共演には、当時と話題性はまったく無いわけではなかった。グランジ/オルタナ旋風が吹き荒れヌーメタルの登場という流れの中で、生粋のメタルを渇望するマニアにとっては、一縷の望みのようなプロジェクトだったが、メロディックメタル路線であり、ポールの厳つい歌声を生かしたとは言えず、少々食い足りない作風である。またデニスも、よく考えるとメイデン時代にデニスが書いた曲ってあったかなぁ?な人なので、そう考えると妙に納得しています。 プロデューサーのリー・ハート色が強すぎるのだが、ポールとデニスの共演による化学反応もあることはあるので、ブリティッシュハードが好きなマニアには、このポップセンスにも英国を感じるであろう。ポールの歌声ではければいけない曲ではないが、イメチェンに取り組む姿勢は悪くない。 後年、デニス・ストラットンですらアイアン・メイデンの曲をカバーするツアーを行うのだから、驚きである。お二人とも節奏がなさ過ぎですよ。でもポール・ディアノの声は個性的であり、あのパワフルで押しの強いメタルヴォイスは唯一無二の存在感を示している。