一聴する限りでは、クラシックの要素は前作よりも一気に濃くなっていると思います。 SEやナレーションを聴いていると、RHAPSODY化一歩手前な感じがしますが、 「King Of Kings」や「Sons Of Odin」のような、いつものMANOWARらしい曲も健在なので、 クラシカルなアプローチをどのように受け取るかによって、本作の評価は決まるでしょうね。
大仰であることはボクにとってむしろ大歓迎なのですが・・ しかし同じ「大仰」でも「TRIUMPH OF STEEL」の時代に比べて 明らかに「穏やかになっている」のが皆さんの違和感の原因でないでしょうか。 本作は厳然と構えているイメージで、敵を薙ぎ払うアグレッシブさに欠けている気がしました。懐が広くなっちゃいましたねぇ ・・・KINGS OF METAL を聞いて寝ます。
ここ数作のコンパクトにまとめられた楽曲重視路線から一転、久し振りに重厚長大なコンセプトを全面に押し出した、'07年発表の記念すべき10thアルバム。 コンセプト重視といえば、30分近くに及ぶ大作組曲“ACHILLES,AGONY AND ECSTASY"を収録した7th『THE TRIUMPH OF STEEL』を思い出すが、全体的にメロディの弱さが目立ったあのアルバムに比べて、今回は1曲1曲がきっちりと練り上げられていて、メロディの煽情度も高め。長尺曲で圧倒するのではなく、キャッチーなHMソングを、SEやナレーション、インスト曲で繋ぎ合わせ、映画のサウンド・トラックの如き壮大さを演出するという手法が取られていて、ジョーイ・ディマイオが『THE TRIUMPH~』から得た教訓をちゃんと本作に活かしている事が判る。例えるなら、6th『KINGS OF METAL』に収録されていた笑撃・・・もとい、衝撃的な組曲“THE WARRIORS PRAYER"~“BLOOD OF THE KINGS"の流れをアルバム全編で展開してみた作品? また、ここのところ「メタル応援歌」的な歌詞の比率がどんどん高まっていただけに、本腰を入れてジョーイが神話世界を題材に取ってスケールの大きな歌詞を書き上げてくれた点もファン的には嬉しい限り。 ただ、疾走曲が並ぶ前半に対して、(そのクオリティは兎も角)似通ったテンポのへヴィ・チューンが並ぶ後半はSEやナレーションの長さと相俟って明らかにダレる。ので、個人的には通して聴くのは遠慮させて貰って③⑤⑥⑦⑩⑫といった楽曲のみを摘み食いしていきたい1枚。
正直、'00年以降の作品はどれも初期のマニアを満足させるレベルに達してはいないと感じる。 それは偏にバンドがライヴばかりに力を注ぎ(ソレはこの後、Adamsの劣化も招く訳だが)、コンポーズという事をおざなりにした結果だろう。 また、単なる勢い任せのスピード曲も感心できないし、Karl Loganの早弾きも全く意味がない。 まぁ初期にはあったドラマティックで感動的な展開など期待はしていないが、'02年にシングル曲として発売された名曲"The Dawn O Battle"のような楽曲も作れたわけだから(まぁ'02年の時点ではネ)、バンドは(というよりはDeMaioがか?)目先の金儲けなどではなく(例の『Masic Circle~』に似たようなライヴ作品の乱発等々)、"コンポーズという作業!!?"にもっと正面から向き合うべきだったとつくづく感じる。