97年発表の3rdアルバム。「PECADO」は「SIN」のポルトガル語。 確かにこれは「ゴシック」の範疇に入るアルバムと言え、当時業界を席巻していたであろう、デジタル・ゴシックの波を被ってはいますが、「君ら結局流行に飲まれてるだけやん」とはとても言えないものです。 ゴシックのムード作り・メロディ感覚やデジタルの無機質さだけでなく、TYPE O NEGATIVEあたりの色気も取り込んだこの、ポルトガル産バンドのアルバムは、神聖に対抗する為の「厳粛さ」と、耽美とは違う「妖艶さ」が合体したような独自のゴシック・ロックで、アンチ・キリスト=粗野で野蛮でブルータルとするバンド群とは別次元の宗教性があります。 楽曲・アレンジメントの幅も多種多様で、屈強でありながら混沌、妖艶と無機質の交歓、歌い易い重苦しさなど、様々な要素を違和感なく料理して仕上げています。寡聞にして言わせて貰えば、このアルバムと同様の世界、そして完成度は、少なくともゴシックの中ではないと思います。 ただ、一体どんなバンドが好きな人に薦めればいいのかよく分からない。 前作におけるゴシック特有の感覚も、次作における攻撃性もなく、変なもの好きに薦めるにしてアヴァンギャルドさがないし・・・う~ん・・・ボーカルが TYPE O NEGATIVEと同等にディープな声を出すので(OCTOBER LUSTしか知らんが)、女性に薦めればいいのだろうか・・・あんなエロではないから聴いてて恥ずかしくないし。