本作の特徴を一言で表現するなら「ドラマチック」が適当だろうか。 何しろ、北欧のメロデス勢にも通じる、荒涼たる叙情性とアグレッションを宿したリフ・ワークが滅茶苦茶クール。 11thアルバムにして、SODOMの楽曲に新たな魅力を付与してみせたトム・エンジェルリッパーというミュージシャンの 底知れぬ才能には、今更ながら感嘆を禁じ得ない。 今回、その高いドラマ性を援護射撃するのがバーネマンのGで、“BLOOD ON YOUR LIPS"のイントロに憂いを帯びたアコギ・プレイ、 “CITY OF GOD"“NO CAPTURES"で炸裂させるメロディックなGソロは、そこいらの正統派メタル・ギタリストが 裸足で逃げ出す劇的さを誇り、各曲のハイライトとなっている。 とは言え、新機軸ばかりに気を配って足元がお留守になってるなんて事は全くなく、そこはSODOM。 ダイナミックな曲展開が魅力の“LAY DOWN THE LOW"、サビの勇壮なGメロに痺れる“NOTHING REGRET"、日本盤ボーナス曲ながら、 本編OPを飾ってもおかしくないクオリティを備えた激烈スラッシュ・チューン“KAMIKAZE TERRRORIZER"等、不変の突進力は健在。 ある意味(「BETTER OFF DEAD」とは違った意味で)SODOM未体験者に最適の一枚かと。