ま、中途半端なんでしょうね。この作品の定義って。人気が無いのも致し方が無いところです。 個人的には『ISOLATION』より好きです・・・ついぞ最近もきっちりお互い聴き直しましたが、昔から変わりません。 1986年リリース。時代の流れ的に、テクノロジーの進化がいろいろなアイディアを生んだ時期で、 曲を生かすも殺すもサウンドプロダクションだと誤解されていた時代の渦中。 各パーツの音像がひときわクリアーになり、上モノ(ギターやら鍵盤やら)が煌びやかで 音の厚みが増した反面、エフェクト感が妙にうるさくなり鼻につく上に、非常にAOR的な匂いを プンプンさせており、歴代のTOTOの中ではロック色というポイントで最も低い位置にあるのではないかと 思える作品。直前までの『Ⅳ』や『ISOLATION』はまだロックを土台にしていたと感じられるのではないでしょうか。 本作よりヴォーカルにジョセフ・ウィリアムスが加入。彼のクリアヴォイスは艶もあるし力もあるし 表情を作るスキルも素晴しいことだけは確認できると思います。まるでこの作品が、BLACK SABBATHにおける トニー・マーティンの「ETERNAL IDOL」とか、TNTにおけるトニー・ハーネルの「TELL NO TALES」のような 位置づけなんじゃないかなと連想しました。 さて、この作品が全体的にイマイチなのは、サウンドプロダクションもさることながら、 「I'LL BE OVER YOU」だけが独り歩き、9)・10)あたりの趣向異なる楽曲でトータル的なバランスがさらに 悪いせいでもあります。どちらかというと実験的、あるいは企画性が強い作品なのではないでしょうか。 ただ、そんな中でもとりわけ『ISOLATION』で感じることの出来なかった"音楽的起伏"に再度挑戦している 姿がうかがえるわけで、これが次作『THE SEVENTH ONE』の布石と思えば、いくつもその原石となる楽曲に 共感が持てます。前作のオープニング「CARMEN」よりは'らしい'曲の1)「TILL THE END」、緩急とテンションが 豊かな3)「WITHOUT YOUR LOVE」、リフ作り出すフックがなかなか心地いい4)「CAN'T STAND IT ANY LONGER」、 確かにやりすぎだけど名曲だし、次作の「ANNA」にもつながる5)「I'LL BE OVER YOU」、次作「MUSHANGA」の 布石か7)「SOMEWHERE TONIGHT」など、それなりに聴き所も見つけられます。 恐らく次作『THE SEVENTH ONE』がリリースされた当時、その音楽性に対する抵抗感は、 この作品を通すことで全く無かったことでしょう。 ということで『THE SEVENTH ONE』に理解の高い方におすすめしたい作品です。 決して一番ではない作品が持つ魅力をぜひご堪能ください。
なんで、このアルバム人気無いのかな~? 俺の中ではTOTOの最高傑作は間違いなく「THE SEVENTH ONE」だ。しかし、このアルバムもそれに匹敵するくらい素晴らしいアルバムだと思う。グラミー制覇の「Ⅳ」もクオリティーは異常に高かった。でも、この2枚はさらに上を行くと思う。 まず、①「TILL THE END」②「WE CAN MAKE IT TONIGHT」の連発で俺はガッツポーズものだな。なんで?この2曲が「セヴンス・ワン」に入ってても間違いなくキラーチューン並の位置付けに俺だったらなるけどね・・・ ③「WITHOUT YOUR LOVE」も好きだし必殺の⑤「Ill BE OVER YOU」も最高。 そしてなんと言っても個人的な最高傑作曲⑦「SOMEWHERE TONIGHT」!!こんなクールな曲なかなかお目にかかれない!!ジョセフの天才的歌唱力にもうメロメロにされちまいそう(笑) 最後の2曲はいわゆる実験的だが、じつに良いと思う。この2曲、特にラストのマイルス・ディヴィスとのジャズをTOTOの曲として理解できるかできないかでこの作品かなり変わってくると思う。でも、TOTOにジャズ・フュージョンの要素はかなりあったでしょ??だから俺は全く違和感なし。 ということでこのアルバムも今でも聴きまくるくらいの名盤です。ジョセフが好きだからこのアルバムと「セヴンス・ワン」がTOTOの傑作なんじゃない。この二つが素晴らしいと思うからジョセフが大好きなんだ!!