才能と商魂を武器にKISSのジーン・シモンズが立ち上げたレコード会社といえば、目をつけられたアーティスト達が悉く大成できずに終わってしまう不幸の女神チックなレーベルとして一部で有名ですが(?)、幸か不幸かジーンのお眼鏡に適いSIMONS RECORDSからデビューを飾ったのが、グレッグ・ジェフリア(Key)がGIUFRRIA解散後に新たに結成したこのHOUSE OF LORDSであり、本作は彼らが'90年に発表した2ndアルバム。 ジェイムズ・クリスチャン(Vo)を中心に再編された現在のHOUSE OF LORDSが聴かせてくれる、ヨーロピアンな憂いを湛えたメロディックHRサウンドに比べると、この頃の彼らの持ち味は、大味…もとい抜けが良くド派手に繰り広げられる、限りなくGIUFFRIAと同一路線のアリーナ・メタル・サウンドであります。 メロディに泣きや哀愁といった要素は薄く、正直好みのタイプとは言い難い作風。しかし「駄作か?」と漫然と聞き流していたA面が終わってからが実は本作の真骨頂であるという。イントロで客演のクリス・インペリテリが高速Gプレイを閃かせる、エキゾチックな雰囲気も湛えたアルバム表題曲⑥以降には、ジェイムズの熱唱とダグ・アルドリッチ(G)のフラッシーなソロがダイナミックな盛り上がりを演出するバラード⑦、しみじみと沁みるメロハー⑧、ケン・メリー(Ds)大暴れなスピード・ナンバー⑩等、前半戦の印象の弱さを挽回するかの如く逸曲が並んでおり、聴後感は決して悪くありません。寧ろ後味爽快。 HOUSE OF LORDSの初期作は長らく国内盤が入手困難な状態が続いており、気軽に買えるようにならんかねぇと思わずにはいられない1枚であります。