80年8月のケン・ヘンズレー脱退を契機とし、一時はほぼ解散状態となったバンドをミック・ボックスが立て直して約2年振りにリリースした作品。結果的に前任のボーカリストのジョン・スローマンを採用した際にケンが推していた、元トラピーズのピーター・ゴールビーを起用。元ヒープのリー・カースレイクがボブ・ディズリーと共にオジー・オズボーンから加入。更にへヴィー・メタル・キッズのキーボーディスト、ジョン・シンクレアが参加している。サウンドは洗練されたモダンなメロディアス・ハード・ロックへと変化し、アメリカでも成功した。70年代前半のプログレッシヴ・ロックからの影響を感じられる部分はなく、これがミック・ボックスが提唱する新しいヒープサウンドということなのだろう。そういった意味では十分楽しめる内容で、時代にもマッチしていたと言える作品だ。特にジョンのキーボードのセンスのよさが光るが、サンプリング等をも駆使した高音のコーラスは健在だ。またジョン・スローマン時代にシングルでリリースされた"Think It Over"が、かなり趣を変えて再録されているのも興味深い。